《ついにやった》
名古屋大学に通う女子大生A子(19)は昨年12月7日、ツイッターでそうつぶやいた。高齢女性の頭部を手斧で何度も殴りつけたうえ、首を絞めて絶命させた当日のことだ。事件は1月27日に発覚した。名古屋市昭和区のアパートの一室で、同市千種区に住む無職・森外茂子さん(77)の遺体を発見。愛知県警は同日、この部屋に住むA子を殺人の疑いで逮捕した。昨年12月7日昼ごろ、手斧で殴るなどして森さんを殺害した疑い。
「A子は“人を殺してみたかった。達成感があった”などと容疑を認めている。2人のあいだにトラブルはなく、A子は森さんから宗教団体のセミナーに勧誘されたにすぎない。セミナーに参加したA子は信仰に関心をもったふうを装って森さんを自宅に誘い込み、殺害したとみられる。相手は誰でもよかったようだ」
と全国紙社会部記者。A子は昨年春、ツイッターを開設。不謹慎なツイートを連発していた。
《今日は加藤智大さんの誕生日です。皆さん祝いましょう》(昨年9月28日)
《御巣鷹山でもタンク山でもいいから取り敢えず登山したい気分》(同10月30日)
日常生活のなにげないつぶやきに、ドキッとする固有名詞が軽い調子で交じる。’08 年の秋葉原無差別殺傷事件・加藤智大被告をリスペクトしたり、’97 年の神戸連続児童殺傷事件・酒鬼薔薇聖斗が犯行場所に選んだ“通称・タンク山”や、’85 年の日航機墜落事故の現場について乱暴に触れている。事件史に残る凶悪犯罪や重大事故への関心が高かったことは間違いない。
前出の記者は「アブない予兆は小学生のころからあったようだ」と話す。
「A子は取り調べに対し、小学生のころから殺人願望があったことを打ち明けたという。中学生のときに今回犯行に使った手斧を入手し、高校時代は同級生に毒を盛って失明させた疑いがある。実家は両親と妹の4人家族。遠方の大学に合格してひとり暮らしを始め、周囲の目を気にする必要がなくなり、恐ろしい願望を実現する環境が整ってしまった」(同記者)
東京工業大学の影山任佐名誉教授(犯罪精神病理学)は「殺人事件数が減っている中、殺人願望を動機とする犯行が1年たたないうちに2件目。いずれも未成年女性の犯行なのは特異的です」と指摘する。
「報道などからあえて容疑者の共通点を挙げるならば、男性的な言葉遣いや振る舞いをしていたこと。今回逮捕された女子大生は過去に問題を起こした痛みをまったく覚えていない。きちんと精神鑑定して、精神障害の有無や犯行動機との関わり合いなどを徹底的に解明する必要があります」(影山名誉教授)