長期療養が始まってから12年になる雅子さまにとり、大きなステップになった今回の国賓行事。そこに至る過程を長年、東宮家を取材するジャーナリストがレポートする


 皇太子同妃両殿下は、今年6月9日でご成婚22周年を迎えられた。

 この日の夜は天皇・皇后両陛下と秋篠宮同妃両殿下などをお招きになった恒例の「夕食会」が元赤坂の東宮御所内で開かれるという。例年、雅子妃は何日も前から両陛下のお好みや季節を考えられたメニューをお考えになるそうだ。

 プライベートで天皇ご一家がそろうのは、4か月ぶりのこと。話が尽きないほどの時間を過ごされることだろう。

 ご成婚記念日には、毎年、愛子内親王殿下から東宮職員と作った手作りのケーキやクッキーといったお菓子やお祝いのカードを受け取られる。今年は、どのようなお菓子にメッセージが寄せられるのだろうか。

 愛子さまが幼いころは花やミツバチ、動物などが描かれた絵手紙が送られたといわれたが、最近では、メッセージの文字数が多くなられたという。国語が好きで文を書くのが得意だといわれるだけに、両殿下の心にもメッセージは深く届かれることだろう。毎年、カードはお誕生日カードなども一緒に保管なさっているという化粧箱の中に大切にしまわれて、その楽しく過ごされた記念日は静かに幕を下ろされるそうだ。

 今年に入ってから雅子妃のご様子は、ほとんど報道されなくなったため「お元気なのだろうか」「どのようにお過ごしになっているのだろうか」という声を耳にすることも多い。

 実際には、お出ましが少なくなったわけではなく、お元気にお過ごしだそうだが、週刊誌が派手な見出しの記事を減らしたことや"秋篠宮佳子内親王殿下フィーバー"に移り気をしたことから、印象が薄くなったのかもしれない。

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友納さんの近著『ザ・プリンセス 雅子妃物語』(文藝春秋)

 実は、こうした静かな環境が保たれたことは、雅子妃がご療養に入られて12年目にして初めてのことだった。

「マスコミから批判が少なくなることは、雅子さまの治療に必要といわれる"静かな環境"が保たれることでもありました。これまで皇太子殿下や医師が何度も静かな環境を訴えてこられましたが、ここにきて、ようやくおさまってきたのです」(東宮関係者)

 批判記事そのものというより、記事の多くが宮内庁からの不満がもとにあって成り立っていたのではないかといわれたため、記事が少なくなってきたことは同時に宮内庁から東宮家への風当たりが弱まったのではないかと東宮側は見ていた。それこそが、

「雅子妃殿下の治療に最も重要なことだったのです」(同前)

 治療環境が功を奏したのか、雅子妃のご病状は着実に上向きなってこられた。東宮御所からお出ましになることはそう多くないが、東宮御所内で客を招く「接見」や「会釈」などは、昨年より倍以上増えていた。

 3月28日には、6年5か月ぶりに東宮御所でデンマークのフレデリック王太子夫妻を「夕食会」に招かれた。

 デンマークと日本は両陛下が築き上げられてきた深い交流があった。一昨年のオランダ即位式でも、皇太子ご夫妻は王太子夫妻にお会いになっていた。雅子妃は「夕食会」に最後までご出席するため、ぎりぎりまで体調を整えられていたという。

「夕食会」はお茶会よりも長い時間になることから、お身体への負担が懸念されたが、ご出席できることになった。だが王太子夫妻を正式に玄関までお出迎えすることまではできなかった。雅子妃は部屋でご挨拶をなさって、夕食を4時間近くともに過ごされたのだった。

 翌日も寝込まれるほどのお疲れが出ることはなかったという。