“ママモデル”の先駆けとして、女性誌に引っ張りだこの中林美和さん。『Can Cam』の看板モデル時代と変わらないキュートな笑顔と華奢なスタイルからは、4人の子どもを持つお母さんには見えない。
「生活感がない? 実際の私は全然違うんですよ。娘が小さかったころは、眉毛がつながっちゃうくらい、自分のことは何もできなくって。2人目の娘が生まれた後は、美容にかける時間が本当になくて……。時間があれば目を閉じて無になっていたかったくらい。染めていた髪もプリン状態だったし。気がついたら、眉毛がつながっていたんです(笑い)」
その当時の美和さんは、怒濤の子育て真っ最中。13歳と12歳の息子2人、1歳3か月の長女、さらに生まれたばかりの次女を、留守がちな夫に代わり、ほぼひとりで育てていたのだ。
「美容にかける時間はゼロ。化粧水や乳液をつける時間なんてないので、娘ふたりに赤ちゃん用のボディークリームを塗った後、残りを自分の顔に塗るだけ。シャワーだって、子どもが寝ついたすきに、音を気にしてこっそりと、です。夫が好きな時間にシャワーを浴びているのを見ていいなあ、なんて思ってました」
美和さんが子育てをスタートしたのは、19歳のとき。
『CanCam』専属モデルとして活躍中の美和さんは、ヒップホップアーティストのZeebraさんと出会い、一瞬で恋に落ちた。
「彼に初めて会ったとき“握手してください”って言ったんです。彼は目の前のソファに座ってて、私がのばした手を、ぐっと強く握って、私の手をずっと離してくれなかった。そのとき、あ、私、この人とずっと一緒にいるって思いました」
運命の出会いから数日後には、Zeebraさんと一緒に暮らし始めた美和さん。彼女を待っていたのは、想像していたような甘い生活ではなかった。
当時、Zeebraさんはシングルファーザーとして7歳と6歳の息子を育てていた。Zeebraさんの事務所兼自宅を初めて訪れた美和さんは、山のように積まれたピザの空き箱と出前の空き皿を目にする。
「私にできることがあればしたい、そう思ったんです。私が自分の母にしてもらったように。それに、大好きな彼の子どもだから、私にもとっても大切だし。2人ともすごく可愛くて、すぐになついてひざの上に乗ってきたり。一瞬で家族になるって決めたんです」
19歳にして2人の子どものママになる。ハンパな決意ではない。
「自分ではそんなに気負った感じはなくて、ごく自然に、子どもたちとの生活を優先して、仕事がなくなってもいいと思っていました」
モデルとして上昇中だった美和さんは、子育てと仕事でキャパオーバー。あまりのつらさに家を出る。しかし、彼女を戻らせたのは息子からの“お腹すいた”コールだった。
「長男から電話がかかってきて、“美和、どこにいるの? お腹すいたんだけど”って。子どもたちは、私が出て行ったこととか何も知らなかったから。すぐ、スーパーに寄って彼らのところに戻りました」
なんと、美和さんが海外で撮影中にも“お腹すいた”コールがかかってきたことがあるんだとか。
「彼が仕事で帰りが遅かったので、国際電話でピザのオーダーをしたんですよ(笑い)。渋谷区の〇〇までお願いしますって」
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