「生徒たちの記憶が新鮮なうちに聞き取って、記録がされていたら、より詳細な事実がわかったはず」
さらに母親が残念だと感じたのは学校側がA子さんの異変に気がついていたことだ。担任は’12年12月、A子さんの様子についてテニス部の顧問に伝えている。
「XX(A子の名字)の様子がおかしいのですが、部活動中でも様子をみてください。クラスでもめごとがあった」
顧問もA子さんの変化には気づいていた。部活前、仲よしのメンバーと職員室によく顔を出していた。しかしA子さんだけ顔を出さなくなった。
仲よしのメンバーから離れて1人になっていた。元気な様子がなくなっていった。翌’13年3月になると部活への意欲をなくしていた。
中学入学後の家庭訪問のとき、母親は担任教諭に、
「どんな小さなことでもいいから、いつでも連絡をください」と言っていた。
母親は振り返る。
「いじめがあったことをちゃんと伝えてくれていたら、(亡くなった当日に)お弁当を"持っていきや"と言わず、休ませた。そう言ってしまった自分に腹が立つ」
新調査委がまとめた「調査報告書」は三回忌が過ぎた今年4月23日に公表された。報告書は自殺の原因を「友人関係の変化やトラブル、部活動など学校生活におけるストレス、家族関係の葛藤によるストレス」などと結論づけた。
LINEでのいじめは認定された。友人のタイムラインでは、
《ほんま、うざい。消えてよね》《KYでうざい。さよなら》
と書かれていた。
名指しはしていないが、気になったA子さんは回し手紙で、
《あのタイムラインは誰のこと?》
と聞いてみた。
すると、
《A子のこと》
と返ってきた。