差別は許さないというプライド
沖縄だったら許されるという意識は、僕は日本人の中にもあると思う。’60年代には、沖縄にある米軍基地は日本全体の5割を占めていたのが、’70年代になると7割以上に増えました。でも、ちょっと待ってと本土の人たちは誰も言わなかった。
例えば、安倍首相の地元の山口県に74%の米軍基地が集中しているという状況はありえないでしょう。山口県の人も、多くの日本人も許さない。でも沖縄には現実に基地が集中している。その意味で差別的な意識があった。
それでも最近は、本土でも辺野古の基地反対運動が起きたりして関心が高くなっているし、沖縄もこの10年で特に変わりました。差別は許さないというプライドを持ったら、後戻りできません。妥協できないし1歩も引かない。それが『オール沖縄』につながった。
政府は“沖縄の人たちの理解を得るために努力します”と繰り返し言っています。でも、彼らのいう理解とは、賛成するという意味。多くの人たちは理解したうえで反対の選択をしているのです。
民主主義だったら、その選択を尊重して政策を変えるべきなのに、それをしない。小さい規模では辺野古の問題で、大きな規模では集団的自衛権で、まったく同じことをやっているのだと思います。
《取材・文/樫田秀樹、渋井哲也、「沖縄問題」取材班》