最近になって、民泊問題が騒がれるようになった背景には、日本特有の複雑な事情が絡むという。

「不動産業者が“空き家対策”を目的に民泊参入に動き出した。また、ゲストの受け入れや運営を英語で行うことが困難なホスト希望者のための代行サービス業者が異常発達しています。このようにビジネス色が強まる中で、取り締まりの必要性が叫ばれるようになったように思います」

 加えて、新たな問題として浮上したのが、賃貸物件をオーナーの許可なしに転貸する契約違反。いわゆる“又貸し”だ。

「突然、マンションに外国人が出入りするようになり、騒音やゴミの問題など、近隣住民から苦情が寄せられることで発覚するケースが多いですね。マンション規約に“民泊禁止”の項目を新たに追記するなど、対策が進められています」

 すでに東京・大田区や大阪府などの国家戦略特区では、一部地域で条例を定めて試験的に民泊事業を許可する動きも出ている。だが、“6泊7日以上の滞在”など、厳しい条件つき。

 政府は、ホテル不足の受け皿として民泊には期待を寄せており、旅館業法の“簡易宿所”に位置づけ、面積基準などを緩和する方針を決めたばかり。ワンルームマンションでも営業許可がとれるように最低面積基準のハードルを下げたうえで、家主に適正な営業を行うための申請を促していくという。早ければ今年4月から導入される予定だ。

 前出の金子弁護士は言う。

「世界では民泊が積極的な広がりを見せていますが、日本はまだ消極的です。本来、『airbnb』を中心とする民泊は、旅先の国の生活や文化を深い面まで経験したいというニーズに寄り添い、スタートしました。規制緩和、法整備の流れの中で、ホームステイ的な交流の要素が失われないことを願います」