s-20160412_chanuku

 ドラマ『奇皇后―ふたつの愛 涙の誓い―』で演じた皇帝タファン役で、ぐっと人気を高めたチ・チャンウクの最新主演ドラマが『ヒーラー~最高の恋人~』(DVD-BOX1・2も発売中)。

「僕が演じたジョンフは、稼いだお金で無人島を買おうと思っています。彼にとって無人島とは、理想郷。そこへ行けば、幸せになれるという」

 主人公のジョンフは、殺人以外ならどんな依頼も請け負う闇の便利屋(コードネームは“ヒーラー”)。ある人物からの“ひとりの女性(=ヨンシン)を探してほしい”という依頼をきっかけに、自身の人生も急展開していく。

 調査の対象である女性・ヨンシンは、インターネット新聞の芸能記者。彼女に近づくために、冴えない新人記者・ボンスへと変身するヒーラー。

「ヒーラー、つまりジョンフは、孤独で寂しさを抱えるいっぽう、ルックスはもちろん、何をしても完璧にこなすクールでカッコいい男。対するボンスは、ちょっとウジウジしていて弱々しい、ダメ男に近い人物。でも、愛嬌があって、かわいらしいんです。

 今作では、ジョンフ、ヒーラー、ボンスの3役を演じています。それぞれのキャラクターの違いをどの程度作っていくかが難しかったですね。撮影に入るまでに監督や脚本家の先生と十分に話をして、どんな環境で育ってきて、どんなトラウマやコンプレックスを持っているかということを何度も想像して確認しながら作っていきました」

 作品の中でジョンフ、ヒーラー、ボンスとして生き、さまざまな表情やスピード感あふれるアクションシーンでときめかせてくれるチ・チャンウク。その中でも印象に残るのが、ジョンフとヨンシンのラブシーン。

 “目隠しキス”“秘密の映画デート”と、次々にドキドキさせてくれる。ヨンシンにベッタリとくっつき甘えるジョンフの姿を、素のチ・チャンウクに重ねる人も多いはず。

「あぁ(テレ笑い)。僕は人見知りなので慣れるまでに時間がかかってしまうのですが、1度、親しくなるとイタズラをしたり、子どもっぽい部分を見せてしまうことがあります。ドラマのように年上の女性に甘えてみたいと思うか? えぇ、もちろん(笑い)」

 テレながら答える。天真爛漫なヨンシンのような女性をどう思うか聞いてみた。

「明るくて仕事に対して誇りと情熱を持っている。人を心から心配し、愛することができるヨンシンに、僕もそうですが、男性なら誰でも恋しちゃうと思いますよ」

 最後に聞いた、チ・チャンウク自身が望む“理想郷=幸せ”とは?

「まだ、具体的に描いているものはないんです。しいて言えば、幸せになるために、何かを作り続けていくことじゃないかと思います。子どものころ、俳優には簡単になれて、芸能界はすごく華やかな世界で、そこへ行けば幸せになれると思っていました。

 でも、いざ足を踏み入れてみると、ここに来るのは簡単なことではなかったし、芸能界はただ華やかなだけじゃない。仕事が少なかった新人のころ、あの先輩みたいに活躍できたらきっと幸せだろうと思っていました。

 でも、自分がそのポジションに近づいてみたら“もっといい作品を作りたい”とかって、さらに悩みや心配、不安が増えていく。ただ、自分がやりたいと思っていた夢の職業について、それを続けていられることは幸せだと思っています」

撮影/伊藤和幸