件名: プロジェクトリーダーについて
To: 山田部長
山田部長
お忙しい中、メールでのご相談となり申し訳ありません。当プロジェクトのリーダーについてお考えをお聞かせいただければと思います。
我々の部門はプロジェクトリーダーの要件として、従来は専門性を重視してきたように思います。さまざまなトラブルの発生要因を見ても技術的な知識不足が原因のものが多く、その対応に高い専門性が必要であることが理由だと考えます。
今回リーダーとなった鈴木さんは営業部門から異動されてきたばかりですが、実績を認められての抜擢と伺っており、当社の方針として以前よりも短期で利益を出すことが求められていることを私も強く認識いたしました。
ただし、新規サービス展開にはトラブルがつきもので、その対応によっては、利益自体にも影響を与えると懸念しています。私の考えではありますが、知識・経験が豊富な杉村さんにも関与いただけると、鈴木さんがまだ不慣れな領域をカバーできるのではと思います。杉村さんにご参画いただければ、メンバーも一丸となって部長や経営陣の期待にもお応えできると考えております。
お忙しい中恐縮ですが、部長のお考えをお聞かせいただく場をいただければと思います。
早田
いかがでしょうか? このメールが唯一無二の正解というわけではありませんが、ビフォアのメールとの大きな違いは部長や会社の視座を理解しているところです。その上で、問題点を感情的ではなく客観的に指摘し、代替案まで提示しています。
仕事の成果がぐっと変わってくる
視座の高さは、メール以前の問題と思われるかもしれませんが、メールは会話と違って残りますし、転送されてほかの人の目に触れることもあるため、自分の視座の高さは会話以上にどう表現するかを注意したほうがよいでしょう。
効率的にメールを書けるようになった後は、さらに効果的に伝わるよう、関係性や人間性を意識してみてくださいね。きっと周囲の反応や、仕事の成果がぐっと変わってくるはずです。
清水久三子(しみず・くみこ)●オーガナイズ・コンサルティング代表取締役・人材育成コンサルタント。大手アパレル企業を経て、1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社後、企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして、多くの新規事業戦略立案・展開プロジェクトをリード。大規模・長期間の変革を得意とし、高い評価を得た。「人が変わらなければ変革は成し遂げられない」との思いから、専門領域を徐々に人材育成分野に移し、人事・人材育成の戦略策定・制度設計・導入支援などのプロジェクトをリード。2005年に当時の社長から「強いプロフェッショナルを育ててほしい」と命を受け、コンサルティングサービス&SI事業の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEを対象とした人材ビジョン策定、育成プログラム企画・開発・展開を担い、ベストプラクティスとして多くのメディアにも取り上げられ、プロを育てるプロとして知られている。講師としては、大前研一ビジネス・ブレークスルー、ベネッセ著者大学、世界最大動画教育プラットフォームUdemyなどで看板コースを多数持つ他、大手銀行系の研修提供会社3社で講師をつとめ、高い集客と満足度を得ている。