例えば、世田谷区の場合、認可外保育施設に有償で預けている場合は6ポイント。4月入所の予定で親が1月から働いていれば3ポイント、2月から働いていれば2ポイント。親の就労実績が1年以上の場合は2ポイント……といった具合。
週5日・40時間以上の就労を常態とする人には、50ポイントが与えられる。夫婦共働きの場合、合算すると100ポイントになる。ポイント表とにらめっこしながら「どう1ポイントでも多く獲得するか」を考える。それが保活なのだ。
天野さんの体験はすさまじい。真夏に保活を行った世田谷区の無認可保育所から、「10月に空きが出る」という連絡をもらった。
まだ世田谷区に引っ越してはいなかったものの、空きを確保するために10月から12月まで、通わない保育所に約10万円の保育料を支払い続けた。そうしなければ復職が難しいからだ。
さらに慣らし保育も兼ねて、当時住んでいた港区の認可外保育所へ11月から預け、12月までの2か月間通わせた。かかった保育料は月約10万円。
こうしておよそ50万円が保育料で消えた。すべて「認可保育所に入るため」の出費だった。前出の夏木さんも7年前に保活をしているが、今と似た状況だったと振り返る。
「しかも、うちの子は12月中旬生まれで大変でした」
保育所の入所は4月。募集は、その前年の12月に締め切る。夏木さんが申し込んだ世田谷区は12月上旬締め切りだった。
12月中旬生まれの子どもということは、1年後の12月には1歳。しかし、1歳児が認可保育所に入所できる枠は0歳児より減り、落選率が上がる。なぜか。すでに入所ずみの0歳児は、1歳になっても、ほとんどがそのまま残る。すると1歳から入所できる子どもの枠は、せいぜい1人か2人程度にしかならない。
夏木さんは12月の出産直後、2次募集に申し込みをした。復職するには、0歳の4月から入所させるしかなかった。
出産直後で身体じゅうが痛むなか、保活をスタート。認可園に入れないことを考え、通える範囲の認可外保育所を、授乳とオムツ交換の時間を気にしながら回った。
ひと駅先、ふた駅先……とだんだん範囲が広がっていく。妥協しなければ入れる保育園はなかった。
「入れることに集中してしまうと、通園には現実的ではない保育園まで何とかなるかも、って思っちゃう」