全国の橋の4割は建設時期すらわからない
まずは橋について。
「日本全国に70万の橋がかかっているうち、いつ建てたのかわかる橋は40万。残りの30万は、建設時期がわからないんです」(根本教授)
この車、何年式? と聞かれても答えられないようなもの。あまりにもひどい現状に、
「いまは国が音頭を取り、橋だけではなく、すべての公共施設、インフラの台帳を整備することになっている」(根本教授)
法律で決められている橋の耐用年数は50年。ここに新たな“橋梁の2020年問題”が立ちはだかろうとしている。
「1970年代は毎年、1万本の橋が全国にかけられていました。それから50年たつ2020年以降にかけ替えの時期を迎える。すでに、40年たっているわけですから、ずいぶん老朽化しています」(根本教授)
九州自動車道にかかる橋で、熊本地震で崩落した府領第一橋も建設から42年が経過していた。
経年もさることながら、日本の橋の置かれた状況も、劣化に拍車をかけている。
「日本は地形が急峻なので、川の流れが速い。ですから、橋脚がどんどん削れていく。老朽化の症状が早く出やすいと言えます」(根本教授)
ひび割れを発見しても「予算がない」
ふだん、安全性を疑うことなく車や自転車、歩いて渡っている橋が、これほどまでに老朽化しているが、
「年間1万本の橋をかけ替えないといけないのに、予算は1000本分しかない」という現状。そこで各自治体が打ち出している策が『長寿命化計画』だ。
「例えば橋脚の部分に鉄をグルグル巻いたり、舗装をやり替えたりして、車がスムーズに流れるようにする。そうすれば橋にかかる重力が軽くなります。全部壊してかけ替えるのではなく、一部ずつ補強したり取り壊したりして、耐用年数の50年を70年、80年へと延ばす。それが長寿命化です」(根本教授)