【Q6】依存症という病気は昔からあったの?
「依存症とは、現代社会が作り出した現代病です。終戦直後の日本は食べるものがなかったので、糖尿病はありませんでした。幼いころの私のように、6畳ひと間に家族5人で住んでいれば、ひきこもりもできません。
お酒も昔は今ほど大量生産していなかったし、貧乏な人はそんなにたくさん飲めなかった。つまり、社会が豊かになるほど、心が歪んで満たされなくなり、何かの依存症になるのです」(榎本医師)
【Q7】国によって依存症の種類は違うの?
「イタリアには『性依存症』の痴漢や盗撮はないそうです。欧米人は挨拶でハグをしながら頬を合わせたり、女性と一緒に歩くと男性が腰に手を回したりするのは当たり前ですよね。文化や社会によって依存症に違いはあります。ただし、欧米に痴漢はありませんが、レイプが深刻な問題になっています」(榎本医師)
【Q8】依存症はどうやって治療するの?
自分の力では、どうしようもないのが依存症。そもそも心の病気であり、それが身体の病気も引き起こして、さらに家族も巻き込んで、社会的な問題に悪化してしまう。
「依存症には、飲んだら治る薬とか、こういった手術をすればいいという治療方法がありません。徹底的な治療法がないのです。そもそも本人には病気である意識はありませんから。
自ら進んで病院やクリニックにやってくる依存症の人もいません。家族も最初は面倒をみますが、見続けられなくなる。どうにかしてと、家族が本人を病院やクリニックに連れて来て、ささやかながら精神科が医療として支えているのが現状です」(榎本医師)