賃貸物件を探した経験のある人ならフリーレントという文字を目にしたことがあるのでは? しかし、知らないという人も多いだろう。フリーレントとは、「賃貸住宅の賃料を一定の期間、免除する契約」という意味。また、賃貸住宅を借りる場合、初期費用として敷金・礼金・仲介手数料がかかるのが一般的だが、それが免除されるパターンもある。

 大家は空室をフリーレントにすることにより、入居率を上げることができる。一般的な期間は1~3か月とされているため、それ以降は家賃の支払いが発生し、大家も損をすることはない。

 大家がフリーレントに踏み切るのは「入居率は上げたいが、家賃を下げると既に入居している人たちから不満が出てしまう」という理由がある。まずはタダで住んでもらい、住み心地の良さを体感し長期的に入居してもらいたいのだ。

 実際に借りている人はどんな人が多いのか、フリーレント事情に詳しい不動産関係者に話を聞いた。

「利用者は学生などのお金に余裕がない層が多いですね。上京してきたばかりの大学生や、基本的にはワンルームですが、1人暮らしのOLには非常に魅力的だと思います」

 では、実際どんな物件があるのだろうか? とある賃貸情報サイトにはこのような物件情報が載っていた。

《吉祥寺築2年 駅から徒歩10分 家賃6.8万円 敷1礼0 フリーレント1か月》

 若者に人気の街、吉祥寺の築浅物件なのに初期費用が10万円以下で住めてしまう。敷2・礼2の前家賃とすれば4分の1だ。わざわざフリーレントにしなくても人気のありそうな物件だ。こんな好条件で住めると、今までのように借りるのが惜しくなってしまう人も多いという。しかし、なかにはこんな不動産屋も。

「フリーレントの住人を紹介すると、大家から不動産屋に仲介料が入るので、それをあてにした不動産屋も多くいます。ほとんどのフリーレント物件には、入居期間や中途解約の違約金などフリーレントに関する違約条項が定められているため、家賃発生月になったからといって退去はできませんが、まれにその違約条項がない物件もあります。その場合不動産屋は、住人に引っ越しを転々とさせて仲介料をもらい続けるのです」

 3か月ごとに引っ越しをするのは大変そうだが、不動産屋はどうやって住人を探すのだろうか。

「不動産屋の営業マンのおごりでターゲットの学生たちと飲み会を開催します。そこで“家賃に困っている人はいる? 初期費用をおさえて住める部屋があったらいいと思わない?”と問いかけます。もちろんみんな家賃は安くしたいと思っているので、食いつきはいいですね」

 こうして学生の間で口コミが広がり、利用者が増えているというケースもあるという。

 一方で、“フリーレント”と聞くと、物件に問題があったり、いわくつきだったりと想像しがちだが……。

「実際にはそんなことはありません。まだ広く知れ渡っていない言葉かもしれませんが、好条件の物件が想像以上に安く借りられる場合もあります。表向きにフリーレントとして出していない物件も交渉次第でフリーレントになる可能性もあるので、ダメ元でも不動産屋に問い合わせてみる価値はあると思いますよ」