僧侶冥利に尽きる「来てもらってよかった、また次回も」
「しかし、不透明すぎるお布施の価格設定が、多くの人の中に不信感を生み、仏教離れを起こしているのも現実にはあるわけです。お気持ちと言いながら、では千円でいいのか、となると、大部分のお坊さんは、快く受け入れないでしょう。
一定の金額を提示し、それで納得された方が、お坊さんを呼んでくれるのなら、意味があると考えています。僧侶の仕事は本来、読経の裏にある布教です。布教をする機会を生かして活動することこそが、本当に仏教を守ることであり、使命だと思うのです」(仲田住職)
派遣僧侶を頼む側は、「とりあえずお坊さんに来てもらって、法事をすませたい」という人が多いそうだ。お坊さんへの期待は最初は少ない。
「それでも、お経をあげて、お話をさせていただくと、お顔が変わります。“お坊さんに来てもらってよかった、また次回も”と言っていただくと、僧侶冥利に尽きます」(仲田住職)
需要と供給が一致
僧侶紹介サービス「お坊さん便」の場合は、一周忌以降の法要やお盆にお坊さんにお経を読んでもらうのは3万5000円ポッキリ。心づけも交通費もすべて含まれ、とにかくわかりやすい。
お坊さん便を手がける(株)みんれび副社長の秋田将志さんは、
「葬儀社で、お寺とのお付き合いがほとんどなく、お葬式や法事・法要にお坊さんを頼みたくてもどうしたらいいのか、わからないという方がとても多いことを知り、お坊さんの紹介を始めました」
無宗教・無信心者でも、やっぱり法事は気になる。そして、お坊さん側にも事情が。
「お寺は全国に約8万もあり、コンビニよりも多く、お坊さんは約40万人もいると言われています。地方では過疎化も進み、檀家も激減してお寺の経営も難しくなり、僧侶紹介サービスに登録を希望されるお坊さんも増えているそうです」(秋田さん)
お坊さんにお願いしたい側と、お坊さん側の需要と供給が一致したというわけだ。
「仏教会から、われわれに対しての連絡は何もありません。対立する必要はなく、それぞれの立場で、故人を供養する大切さを伝えていければよいと思っています」