「都はよくなると言うが、これが全くの大ウソ」

東京中央市場労組の中澤誠委員長は「移転は無理」と話す
東京中央市場労組の中澤誠委員長は「移転は無理」と話す
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 なぜ、いまごろになって問題が次々と明るみに出るのか。ほかにいくつぐらい問題が出てくる可能性があるのか。

 築地市場で働く従業員でつくる『東京中央市場労働組合』の中澤誠・執行委員長は「細かく言えば100個ぐらい問題があるんじゃないか」として、次のように話す。

「新しい施設をつくったら、物流効率がよくなるのがフツーでしょ? 都はよくなると言っていたけれど、これが全くの大ウソ。豊洲は閉鎖型の市場なので、荷物を積んだトラックは荷卸しの順番を数珠つなぎで待つしかない。築地は開放型なので卸したいところに車を止めて、スピーディーに荷卸しできる。全国から魚を運んできたトラックが数珠(じゅず)つなぎで順番を待つというのは現実的ではありません」

 荷卸しスタイルにも問題があるという。築地の場合、大型トラックは面積の広いサイドの扉を開けて、一気に荷卸しに取りかかることができる。しかし豊洲では、1度に荷卸しする台数を少しでも多く確保するため、トラック後部を施設に向けて止めなければならない。つまり、面積の狭い後部の扉を開け、少しずつ荷卸しすることになる。

「いかに短時間で大量の荷物をさばくかが卸しの仕事。現在のスピードを維持するためには、そうとう人手を増やす必要がある。また築地は平面配置だけれど、豊洲の仲卸棟は売り場が1階で駐車場が4階。縦の動線が重要になってきますが、後づけのスロープは道幅に余裕がなく、狭くて急なヘアピンカーブをジグザグ上り、上り・下りが対面式なので事故が心配です。エレベーターも少なく、これも順番待ちになりそうです」(中澤委員長)