「ランチタイムに間に合いません」

 さらに、交通アクセスが不便すぎるという。築地市場から豊洲予定地までは直線距離で約2・5キロ。しかし道路事情が悪く、都心に向かうには混雑する晴海通りを通過しなければならない。

 その結果……、

「新宿、渋谷、池袋の飲食店向けの午前中配送は間に合わなくなるだろう、と運送業者は言っています。正午を回ってから届いても遅いんです。ランチタイムに間に合いませんから」(中澤委員長)

 このまま豊洲移転となった場合、築地直送のマグロ丼や海鮮丼、刺身定食や焼き魚定食は新宿や渋谷から消えるかもしれないというわけ。ディナーは高くつく高級店であっても、ランチタイムはもうけ度外視のサービスメニューを設定しているところが多い。列に並んででも食べるのが庶民の楽しみなのに、それが奪われるのはやるせない。

「食材にこだわるプロの料理人は築地市場に毎朝通う。日比谷線・築地駅、大江戸線・築地市場駅、都営浅草線・東銀座駅、丸ノ内線や銀座線が通る銀座駅や、JR有楽町駅からも徒歩圏内。一方、豊洲予定地は最寄りが新交通ゆりかもめの市場前駅。有楽町線・豊洲駅からも歩けるが、公共交通機関を利用したアクセスは格段に悪くなる。仕入れるだけが仕事ではないから悩ましいはず」(前出の記者)