「自動車業界も再編の時代。多メディアの時代、番組も連動していかないとダメなんです。深夜は研究所。必要以上に視聴率を気にする必要もないので、いろいろと実験できるし、またスペシャリストを呼んで、いろんなことを掘り下げることができる。

 それがゴールデンにつながっていけば。とは言いつつも、ゴールデンだけでは不安だったので、自賠責保険ですね(笑)」

「けっこう前向きでまじめな男」と称してテレた
「けっこう前向きでまじめな男」と称してテレた
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 新番組では、実況アナでも報道キャスターでもない、中庸の精神で臨むという。

「日曜夜のほのぼのとした雰囲気を出すために、『サザエさん』(日曜夜6時半)の放送が終わってつながるように『フルタチさん』というタイトルにしたいと言われて決まったけど、ちょっと意味不明でしょ。『トコブシさん』なら『サザエさん』つながりでわかる。僕は『かたよらない健全な番組』がよかった(笑)。

 チャレンジはするけれど、無謀な自爆テロみたいなことはしません。いろいろバランスをとりながら、ブレはいけないけど、揺らぎに揺らいで七転八倒している番組を見てもらえたら」

 バラエティー番組の司会を久しぶりに再開するにあたっては、中居正広に触発された。

「不倫騒動のベッキーが囲炉裏端で話した中居君の司会は、最高だと思いました。囲炉裏端で2人きりで話す前から中居君の言動には、入念な準備があった。

 騒動前後の情報を準備するのではなく、ベッキーの心を和ませ、素にさせ、さらに言えば、泣く準備をさせてあげていたと思う。インタビューするときは準備がすべてだけど、中居君のような芸当は僕にはできないところ。

 中居君のような若い司会者に学びながら、毎日が他流試合だと思っています。

 昔の感覚で偉そうにものを言うのではなく、“古舘、ちょっと変わったね。ただ、うるさいだけで、また同じことをやるのかと思ったら、違った味が出ているね”と、言われないといけないし、それを目指しています」

 アナウンサー人生も40年、硬軟の番組で経験と実績を積んだ“不惑のしゃべり”は、注目されそうだ。