歩行者に落ち度はない。運転手の不注意や身勝手な行為が人の命を一方的に奪う事故が、各地で多発している。

 交通事故に関する総合的な調査研究を行っている『交通事故総合分析センター』の主任研究員・山口朗さんは、

交通事故総合分析センターの山口朗さん
交通事故総合分析センターの山口朗さん
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「最近の事故はたまたま児童に突っ込んだものですが、誰が被害に遭ってもおかしくないものです。防ぎようがない」

 と、暴走する運転者を止める手立てがないと嘆く。

 交通事故総合分析センターの統計によれば、0歳から15歳までの歩行中の交通事故死傷者数は、1995年の2万6557件から2015年には8486件と大幅に減少しているが、それでも多くの子どもが犠牲になっている。

 子ども事故には『7歳の山』があると山口さんは話す。

「歩行中の死傷者でみると、7歳の事故が非常に多い。

 就学前は通園バスや保護者の送迎などがある。しかし小学校では登下校があり、学校から帰った後に友達の家に遊びに行くこともある。ひとりで行動する機会が急に増えることで、小学1年生の事故が一気に増加するんです」

 前出の2015年の統計によれば、6歳1057件→7歳1462件→8歳1104件と、事故件数は推移し、7歳をピークに年齢が上がるにつれ山なりに減少する。その理由を山口さんは、

「経験を積むことで、注意力や判断力が向上します。でも子どもは、突然走り出すとか、突飛な行動を取ることが多い」