スマートフォン用ゲームアプリ『ポケモンGO』が配信スタートした今年の夏以降、運転中の“ながらポケモンGO”による交通事故が、全国で相次いだ。
徳島市では8月、歩行者の女性2人がはねられ1人が死亡、愛知県でも8月に歩行者の女性がはねられ死亡、京都府では9月、原付きバイクを運転していた女性が大型クレーン車にはねられ死亡、福島県では11月、車の荷卸しをしていた男性がひき逃げされ死亡した……。
愛知県一宮市で集団下校時の児童に会社員・川合信右被告(36)が運転するトラックが突っ込み、6人の先頭を歩いていた小学4年生、則竹敬太くん(当時9)の命を奪う痛ましい事故が起きたのは10月26日のことだった。
自宅からわずか250メートルの横断歩道。6人の中には敬太くんの兄もいて、事故現場で「敬太、死ぬなよー」と、涙ながらに叫んでいたという。
四十九日の法要を終えた父親の則竹崇智さんに話を聞いた。敬太くんの仏壇には、彼が好きだったたくさんのお菓子が供えられていた。
「うちの子がなぜ、ゲームの犠牲にならなきゃいけないのか。ルールを守り横断歩道を渡っていたのに。被告は子どもに駆け寄って救命することもなく、ただ突っ立っていただけ。明らかに殺人です」
と静かな口調で怒りを表す。
事故当日の朝、仕事に出る際に、2階から兄弟2人が「いってらっしゃい」と声をかけてくれたのが、敬太くんとの最後の会話だったという。