年末に審査員を務めた紅白の裏話を身ぶり手ぶり交え話しだす。会場はドカンドカンと爆笑の連続。続いて司会を務める『笑点』の話。みんな年上なので好き勝手やられて困るという愚痴。これ、とてもテレビではやれないだろう。このマクラだけで終わるのかと思ったら『花筏(はないかだ)』を話し始めた。相撲を描いた落語で、提灯職人が瓜ふたつという力士の替え玉になる噺。クルクル変わる表情と身ぶりに場内の爆笑は最高潮に。

「思わず手を叩いて笑っちゃいました。厳かな雰囲気かと思ったら、肩の力を抜いて過ごせるんですね」

 と編集Y。別世界──まさに浮世を忘れる空間だ。

場内では弁当のほか扇子、湯のみ、はっぴ形手ぬぐいなどオリジナルの寄席グッズも購入できる
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 末廣亭の広報部長・林美也子さんが言う。

「外国人を含め、2〜3年前から確実に動員数は増えてます。特に夜の部は若い会社員の女性でいっぱい」

 林さんによると、現在のブームはそもそも落語家が増えたことにあるという。

「今は落語をやってると女の子にモテるとわかった。そうして落語家の分母が増えれば、その中の1割くらいは好みのタイプもいるわけですよ(笑)。でも初めはそれ目当てで寄席に来てみて、落語自体に夢中になっていく人も多いんです」

 女性の多くはここに来るとストレスの解消になると口をそろえるらしい。林さんが、あるOLが話したエピソードを語ってくれた。

落語の世界は、与太郎などのダメな人が、バカだと言われながらも、みんな温かくその彼を迎え入れるユートピア。現実では落伍者になってしまうはずがこの中では楽しく生きている。みんなそれぞれ欠点を持った愛すべき人なんですね」

ビギナーのためのWhat's寄席!? Q&A

Q.いつやってるの?

A.年末を除き毎日開催! 正午前からの「昼の部」、17時前後から始まる「夜の部」のほか深夜や早朝公演がある寄席も。 出演者は1〜10日の上席(かみせき)、11〜20日の中席(なかせき)、21〜30日の下席(しもせき)と月に3回入れ替わる。気になる噺家が出演する時間を選んで行くと◎

Q.どんな内容?

A.10人程度の噺家が出演し、持ち時間は1人15〜30分ほど。前座がしゃべった後、二つ目が登場。続いて落語と色物の芸がテンポよく進み、おしまいに真打が締める。客席からは絶えず笑い声が♪

Q.チケットの買い方は?

A.基本的には当日券。寄席の入り口で「木戸銭」(入場料)を支払う。通常公演のチケットは大人2500〜3000円ほど。入れ替え制ではない寄席もあるので、当日ぷらっと行って昼から夜まで入り浸ることも可能!

Q.マナーや楽しみ方って?

A.服装、飲食ともに自由。アルコールがOKの寄席もアリ! 入退場のタイミングは自由だが、高座の切れ間(演芸と演芸の間)にするのが望ましい。携帯はオフにしよう。靴を脱ぐ桟敷席や、出演者にいじられる可能性がある前列など、座る場所により違った雰囲気を楽しんで☆