ただ、芸能人にはほかにも選択肢がたくさんあるはずだ。テレビ番組の収録でイケメン俳優と共演する機会だってある。どうして、わざわざバンドマンを選ぶのだろう。'90年代に一世を風靡した『大事MANブラザーズバンド』の立川俊之の分析は鋭い。
バンドマンだからわかる鋭い分析
「芸能界にいる若い女性たちは、バラエティーやドラマで会う俳優さんを見慣れちゃってるんです。でも、バンドマンに会う機会はあまり多くない。一般人と同じように、ステージの上の姿を見るくらいじゃないかな?
そうすると、演奏したり歌ったりする彼らがみんなカッコよく見えるんだよね。ある種の非日常的な景色を見せてくれるというか。それがすごく素敵に見えてしまうんでしょう」
自分も普通ではない生活を送っているので、さらなる非日常の世界に憧れるわけだ。そして、歌声には女性を惑わす魔力がひそんでいる。
「鳥のオスがメスに求愛するときは、きれいに鳴くっていうじゃないですか。鳥じゃなくても、動物たちには求愛の踊りと歌がありますよね。人間だって同じだと思うんです。歌のうまい男性歌手って、女性に直接訴えかける何かがあるんですよ。
男性が女性アーティストの歌声を好きだと思っても、惚れることってあまりないじゃないですか。でも、女性って男性の歌声にダイレクトに惚れるんですよ。子宮にガツンとくるんだと思います。歌にはその力があるんですよ」(前出・倉田氏)
確かに、昔からセクシーな声を持つ色男は多かった。バンドマンは声質だけでなく、発言でもモテを加速させる。
「バンドマンってカッコよくてきれいなことばっかり言ってるじゃん。カッコいいんだよ、バンドマンって(笑)。カッコつけてなんぼの世界だし、芸人さんと違って、ボケたりツッコんだりしないんだから」(前出・立川)
インタビューを受けるときも、抽象的でぼかした言い方が多く見受けられる。はっきりしたことを話すより深い考えがあるようにみえるのだ。