【中国】歴史的なルーツのある名字がたくさん
■岡山──194位の名字が県2位
いちばん多い名字は山本だが、2位は三宅。全国ランキングは194位なので、この順位はかなり特徴的。11位の難波は、源平合戦で平家方の武将として登場する一族で、県内に38%が住んでいる。30位の妹尾(せのお)も、古代豪族の子孫で『平家物語』にも出てくる。
「難波も妹尾も岡山ならではの名字。その昔、岡山は吉備国として栄えていたため、古い氏族が多いです」
■広島──西日本なのに佐藤が多い
山本、田中、藤井、佐藤、高橋、村上、佐々木……とメジャー名字が上位を独占。
「佐藤は東日本を代表する名字なのに、県4位。西日本ではかなり珍しいです。これは、鎌倉時代初めに東国の武士が移り住んだことや、備後福山藩は譜代大名が代わるがわるやって来たためです」
県西部の安芸地方は山本、田中が多く、特に安芸北部は佐々木が集中。東部の備後地方は村上、佐藤が多い。
■鳥取──金持のルーツ
県3位に山根が入っているのはレア。6位の谷口は西日本に多いが、人口比では鳥取が日本一。小椋、角(すみ)、林原、景山(かげやま)、生田(いくた)などは鳥取らしい名字といえる。
「江戸時代、藩主が池田家になった際、もともといた池田は“生田”に名字を変えました。原則的に、藩士は、藩主と同じ名字は名乗らないので」
秋田には金持(かねもち)というゴージャスな名字があるが、ルーツは鳥取県日野郡金持。
■島根──さすが“神の国”
出雲大社を擁する島根。神門(こうど)、神庭(かみにわ)など神にちなんだ名字があるのが独特といえる。また出雲地方は、古代から良質な鉄がたくさん採れた“製鉄のメッカ”。鉄は“金”の文字で表されたため、金を冠する名字のほか、鉱(あらがね)、鈩(たたら)なども。県48位・錦織のルーツは滋賀県大津市の地名。もともとは“にしこり”と読んだが、現在は“にしこおり”が多い。勝部(かつべ)、野津、森脇、江角、園山(そのやま)なども島根らしい名字。
■山口──川村さんよりも河村さん
トップ4は山本、田中、中村、藤井。これは、山陽にほぼ共通して見られる傾向だ。県9位は河村。全国的に“かわむら”は川村と書くほうが多いので、かなり特徴的。古谷(ふるや)、弘中、村岡、水津(すいつ)、縄田などが山口らしい名字といえる。
「珍しい名字としては無敵(むてき)があります。殿様が、抜群の働きをした武士につけたそうです」
さらに目(さかん)、金魚(きんぎょ)、次郎垣内(じろうかきうち)、二十八(つちや)なども。