彼女がよりよい演技をするために、普段から心がけているのがフラットでいること。

「演じるうえで上がり下がりがあるといけないと思うので、常に自分でいられるようにしています。だからネットはあまり見ないですね。ネガティブな言葉、嫌な意見を見てしまったらヘコんでしまうので(笑)。役と向き合い演じることに集中し、普通でいることが大事かなって」 

 人との出会いに恵まれ、困難を乗り越えていく澪とは、重なる部分があるようだ。

「自分自身には何もなくて、みなさんに助けてもらってここにいるので、出会いの運はいいなと思います。最初だと、大学在学中に野田秀樹さんに出会ったことも大きかったですね」

料理シーンがキモとなるだけに、料理指導のスタッフも交えて段取りを確認していく 撮影/伊藤和幸
料理シーンがキモとなるだけに、料理指導のスタッフも交えて段取りを確認していく 撮影/伊藤和幸
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いちばんの心の支えは母親

 その後も蜷川幸雄や山田洋次など多くのクリエイターに愛され、キャリアを重ねてきた。そんな彼女にとって、いちばんの心の支えは地元に住む母親。

「どうしようもないほど弱気になっているときは母に電話します。まだ大丈夫だなというときは、好きなDVDを見たり、音楽を聴いて切り替えます」

 好きな母の味は?

「実家に帰るとリクエストするのは餃子。父と弟と私で包んで……というのが恒例になっています。餃子は、ひとりではなかなか作らないので、実家に帰るとつい食べすぎちゃいますね」

 最近、気分転換でよく見ているのは、意外にも若手芸人の作品。

「シソンヌさんの単独ライブに行かせていただいて以来、ライブDVDを流していることが多いですね。バナナマンさんも好きなので、作りこまれたコントが好きです。シソンヌさんも出ていたNHKのコント番組『LIFE!』も好きなので、続編のオファーがあればぜひ!(笑)」

 舞台となるのは江戸時代だが、人とのつながりの大切さに時代は関係ないと語る。

「自分ひとりでは乗り越えられない困難もたくさんありますが、この作品で描いている絆(きずな)といったテーマは、いつの時代でも響くと思います。見ている人が少しでも前向きになれるお芝居ができたらいいですね。ドラマの終わりに、劇中で出てくる料理の作り方を紹介するミニコーナーもあるので、和食もそんなに難しいものではないと知ってもらえると思います」

<ドラマ情報>
土曜時代ドラマ『みをつくし料理帖』
NHK総合・毎週土曜午後6時5分~。出演/黒木華、森山未來、永山絢斗ほか