ゲームの世界が持つ、増え続け、終わることのない『無制限の可能性』は子どもに大きな依存性をもたらす。この依存性は、刺激的なコンテンツと重なって、ドーパミン増加をもたらす」とカルダラス氏は話す。

 実際、マインクラフトは子どもたちを飽きさせないために、報酬制度を用いているとカルダラス氏は語る。報酬(金やダイヤモンド)は地面に満遍なく、ランダムに埋められているが、プレーヤーはどこを掘れば金やダイヤモンドを見つけられるのか把握できない。

 これはカジノのスロットマシーンなどで使われる「変率報酬スケジュール」と同じもので、最も依存性、中毒性のある報酬スケジュールなのだと彼は言う。

スマホ以外に関心を示さないように

 冒頭のハリス氏も、インタビューでこの点に触れている。スマホ画面をチェックすることは、スロットマシーンで「どんな目が出たか」を確認するのと同じなのだと彼は言う。これは人々の心をハイジャックし、依存を引き起こすひとつの手なのだそうだ。

 ハリス氏の見立てでは、ほとんどの親はハイテク機器が持つこのような複雑な問題には注意を払っていない。しかし、シアトル在住のセラピスト、シエラ・ブレナー氏はそのかぎりではない。

 ブレナー氏は幼稚園に通う2人の子どもにほとんどスクリーンタイムを与えていない。「ハイテク機器の登場で私たちは不快なことをどんどんシャットアウトし、都合のいいことだけに集中できるようになってしまった」というのが理由だ。子どもが同じ場所にとどまって画面を見続けることより、遊びを自ら考え、自分で体を動かすことのほうが大事だと彼女は考えている。

 子どもが小さかったとき、スマホを使わせていたこともあったという。しかし、スマホを使ったり、テレビを見たりするとき、子どもは「固まって」しまい、「魂が抜けて、ほかのことに無関心になってしまうことに気がついた」(ブレナー氏)。さらに、攻撃的かつ高慢な態度も目立つようになった。