配送コストはきちんと取る、会費を払ってでも利用したいと思わせる
『スーパーサンシ』の宅配サービスは月額使い放題516円(以下、すべて金額は税込み)の会費制。単発で利用する場合は104円で、購入金額が1544円未満なら別途84円の配達サービス料がかかる。その他、冷凍食品を注文すれば、ドライアイス代104円。2階以上の家への配達には155円の利用料をとる。細かい料金設定にして、基本会費を少しでも安く抑えている。
“送料無料”と謳わず、かかる配送コストはきちんと取る。それでも、会員数が毎年1000世帯ペースで増える理由は「会費を払ってでも利用したいと思わせる、きめこまかなサービスを徹底しているため」と山田さん。店舗で値引きしたら、宅配商品も値引きし、損をしない配慮も忘れない。
「現在、会員は1万6000人で、うち7500人は電話注文なのでカタログを配布します。ひとりひとりよく購入する商品データを反映し、カスタマイズで作成するので、それぞれ掲載商品が微妙に違うんです」
60歳以上の利用者(現在1750人)には曜日と時間を決め、スーパーから「何かいるものはありますか?」と毎週、必ず電話を入れる安否確認も兼ねたサービスを実施。電話がつながらなければ、親族に連絡を入れることもある。
全世帯に鍵つき宅配ロッカーを提供
正午までに注文すれば、当日17時までに商品を受け取れる。そのスピード感も人気の秘訣。配達効率の高さはピカイチだ。
「午前中の注文を10時と12時締めの2便に区切り、一定数の注文分をまとめて店舗からピッキング。その後、個別に箱詰めします。常温と冷蔵、冷凍商品を3つのラインに分けてそれぞれ箱詰めし、最後にドライバーが担当エリアの世帯ごとにまとめてトラックに荷積みします」(山田さん)
1台のトラックが1回で20~25軒分を積み、1日3便ずつ配達。1台の稼働範囲は30分圏内に絞り込む。
驚いたのは、全世帯に鍵つき宅配ロッカーを提供していること。おかげで不在配達はゼロ。「宅配ロッカーの設置ができない」「エレベーターのない建物の3階以上に在住」などのケースは利用を断り、ドライバーの負担軽減と効率化に努めている。
ドライバー歴6年の山村和美さん(49)のトラックに同乗させてもらうと、新聞を配るようなスピードで1軒あたりの所要時間は2~3分。チャイムは鳴らさず外から「こんにちは! スーパーサンシです」と声をかけ、商品を宅配ロッカーに入れる。そのとき、空の宅配ロッカーに資源ゴミがあれば、回収するサービスまで素早くこなしている。