選挙期間中の日曜日、洗車中のお父さんには選挙カーから、

「車を洗うはご主人が無駄な政治を洗い流すは○○候補」

 工事中の作業員さんには、

「道路のデコボコはみなさんが、政治のデコボコは××候補者が正します!」

 思わず、“うまい!”の声が出ちゃう絶妙のマイクパフォーマンスで、“カリスマうぐいす嬢”の異名を取るのが、幸慶(ゆきよし)美智子さん(48)。応援した候補者の当選率、なんと9割を誇る。

「ブライダルの司会をしていた大学生のときに、地方統一選挙があったんです。お友達から、“候補者にうぐいす嬢としてつくんだけど、もうひと候補につく人がいない。アルバイトしませんか?”という誘いを受けたのが、この世界に入るきっかけでした」

 当時はまだ駆け出し。前述のようなコミュニケーションなど、当然できない。だが、応援スタッフは自分と同じ大学生ばかり。選挙戦はサークルのノリで楽しかった。

 自分が乗った選挙カーに、テレビでおなじみの大物政治家がポンと乗り込み、候補者とたった3人になった際には、「もう、スゴイ威圧感。大学生が急に大人の世界に入ったみたいで、必死に原稿を読みました(笑)」

 自分の声が街中に響く楽しさに夢中になった。住宅地では住民から、“うるさい!”と怒鳴られ、トマトを投げられたことさえあったものの、

「“ああ、そうなんだ”って。それまではトマトを投げた人と同じところから政治を見ていたのに、選挙カーの中に入っただけで、中の人になるんだ、って思いましたね」