昨年末、陛下のお誕生日を祝う一般参賀には、平成に入って最多人数が訪れた。来年5月のお代替わりが確定したことで、皇室への注目度がますます高まっている。約200年ぶりに天皇が譲位されるに伴って、皇族の方々にもいろいろな影響があることだろう―。今回はそんな皇室の最新Q&Aをまとめました!
「高輪皇族邸」が仮住まい先として選ばれた「理由」は?
「天皇・皇后両陛下は、来年4月に譲位した後、東京都港区の高輪皇族邸に仮住まいされることになりました。
高輪皇族邸は'04年に高松宮妃喜久子さまが亡くなってから使用されていませんが、仮住まいは1年半ほどになる予定です」(皇室担当記者)
お代替わりのあとは、まず改修後の皇居に新天皇ご一家がお住まいになり、両陛下も東宮御所の改修が終わり次第お引っ越しされる予定だ。
高輪皇族邸が仮住まい先に決定したことに関して好意的な意見を寄せるのは、皇室を長年取材するジャーナリストで文化学園大学客員教授の渡邉みどりさん。
「仮住まい先が高輪皇族邸に決まったのは、とてもいいことだと思います。
美智子さまの実家で、品川区五反田にある現在は『ねむの木の庭公園』になっている正田家や、母校の港区白金にある聖心女子学院にも近い場所なので、プライベートでも足を運びやすいでしょうから」
皇后を退かれたあとの美智子さまは、ふらっと“思い出の場所”を訪れることもあるだろう。
過去にあった元号に関する“珍ハプニング”とは?
お代替わりに伴ってどうしても気になるのが「新元号」だが、いちばんやきもきしているのはカレンダーや手帳など、元号を記載せざるをえない業界だ。
「政府内では、国民生活に影響が出ないように新元号の発表をお代替わりの約半年前とする動きが出ていますが、それではカレンダーや手帳の生産が間に合わないという意見も出ています」(全国紙社会部記者)
来年用のカレンダーや手帳だけは、西暦のみの表記で対応する会社もあるそう。
ちなみに、過去には昭和から平成に変わる際に元号にまつわるこんな“珍ハプニング”も起こっていたと話すのは、宮内庁OBで皇室ジャーナリストの山下晋司さん。
「新元号は、学者が提出した候補の中から最終的に閣議で決定し、天皇が署名したのちに公布されます。
実は「平成」の元号は、陛下が署名されている時間より、当時の内閣官房長官だった小渕恵三氏(享年62)が発表した時間のほうが数分早いんです。
新元号の情報が漏れないように、陛下のお手元に書類が届いた段階ですぐに発表したんでしょうね」
大正から昭和への「改元」で生まれた“幻の月刊誌”って?
「普段の私たちの生活では、世界共通の西暦という単位が使われています。
しかし、日本の場合は役所などで書類を記入する際には元号を使うことが多いです。
俳人・中村草田男が昭和初期に詠んだ“降る雪や明治は遠くなりにけり”という句があるのですが、大正時代を挟むと明治時代が遠く感じるという意味があります。
つまり、元号は西暦とは違い、人生を区切ってくれるという意味合いを持っているのです」
「元号」の持つ意味合いについてそう話すのは、『天皇の影法師』などの著書がある元東京都知事で作家の猪瀬直樹さん。
大正から昭和へのお代替わりの際には、実在しないはずの“幻の出版物”が発売されてしまったというエピソードも披露してくれた。
「雑誌は、実際の発売日よりあとの日付で表記されます。
大正時代は15年の12月25日までなのに、同年の12月発売の月刊誌『文藝春秋』が大正16年1月号として出版されるなど、存在しない日付の出版物が世に出たことがありました」