タモリ(左)と山中伸弥教授(右)

 京都大学iPS細胞研究所の助教の研究論文に、捏造(ねつぞう)や改ざんが認められたことを受け、山中伸弥所長が22日、謝罪会見を開いた。

 一見、芸能界とはまったく無縁のようだが、「NHKが慌てていますよ。うまく収まってほしい、とね」とベテラン放送担当記者が耳打ちする。

 山中教授といえば、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞したとして知られる人物。問題が露見した同研究所の所長を、受賞前から務めている。

「2014年にはNHKスペシャル『人体 ミクロの大冒険』でタレントのタモリとレギュラー出演しました。そのシリーズ第2弾が、現在、放送されているところなんです」

 と前出・放送担当記者。

 人体を新たな角度から見つめなおす画期的な番組で、現在放送中のシリーズは『人体 神秘の巨大ネットワーク』。

 昨年秋に放送されたプロローグから始まり、腎臓、脂肪と筋肉、骨、腸をこれまで取り上げている。

「新聞の投書欄でも好評の声が掲載されるなど快調なんです。山中教授は、タモリとW司会を務めているんです。実際、いい番組だと思いますよ」と前出・放送担当記者も手放しでほめる。

 そんな矢先に発覚した、今回の論文不正問題。

 山中所長は会見で「このような論文不正を防ぐことができず、所長として非常に強く後悔、反省をしております」と事態の重要性に触れ、自身の進退にも言及したのだ。

「生命にかかわる問題ですし、世界中が研究にしのぎを削っている分野。一歩先を行けるかどうかで、後々の医療産業での利権のキャスティングボードを握れるかどうかが変わってくる世界。今のところ、所長の責任を世論が糾弾するところまでいっていませんが、責任問題として辞任もあり得ますね」と民放報道局記者。

 NHKスペシャルは全7週で、2月4日には第5集『“脳”すごいぞ! ひらめきと記憶の正体』の放送が予定されている。

「その後も第6集、第7集の放送が控えていますが、NHKが頭を抱えるのはそこです。万が一、山中教授が所長を引責辞任ということになれば、タモリとのW司会を続けることがいいのか、という声が局内でもささやかれ始めているんです。

 山中教授も気に入っている番組で力を入れていましたが、ことの重大性に鑑み、出演の辞退を申し出ることもあり得る。どちらにしてもNHKには頭の痛い問題です」

 と前出・放送担当記者が続ける。

 引責辞任がいつになるかによってNHKの判断も大いに揺れる、相当大きな論文不正問題なのである。

<取材・文/薮入りうらら>