平昌五輪開会式、日本選手団の入場行進(写真/共同通信)

 五輪開催に莫大な費用がかかるのは、いまや世界の共通認識になっている。

 平昌五輪の開会式を行った五輪スタジアムは屋根のない吹きさらし。体感温度が氷点下10℃といわれる中、南太平洋のトンガ選手団の旗手を務める男子スキー選手は上半身裸の民族衣装で入場行進し、世界中から注目されるパフォーマンスとなった。

「ドーム型スタジアムにしなかった理由は、五輪終了後に観客席を撤去する際、屋根がないほうが工事費がかからないから。平昌五輪につぎ込んだ総費用は1兆3000億円を超えるとされる。少しでも節約するため、過去の冬季五輪と比べると開会式そのものも簡素だった」

 と在京スポーツ紙デスクは話す。

 2020年東京五輪開催に向けては経費削減の努力が続けられているが、韓国・平昌もまたコストカットに四苦八苦してきたようだ。

「開会式の総合演出を務めたミュージカルプロデューサーは、開会式後にその予算が約70億円しかなかったことを打ち明けている。最初は60億円で“低予算でインパクトのある演出を”とリクエストされ、さすがに無理があったため10億円追加してもらったかたち」(前出のデスク)

 2年後の東京五輪の総予算は、現時点で1兆3500億円。昨年5月時点と比べると、競技会場の仮設整備費の削減などで350億円の減額に成功した。

 2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は、「平昌五輪には171人の職員を数日間派遣し、大会運営を学んでいるところ。そのほか平昌組織委のさまざまな部署に21人が出向し、実際に運営に従事しています」(戦略広報課)と明かし、成果を東京開催に生かすとしている。

 さらに'22年北京冬季五輪の次の'26年冬季大会については、国内候補都市に札幌市だけが手を挙げた。実現すれば1972年以来2度目となる冬季五輪がやってくる。

 札幌市スポーツ局の招致推進部は「いまは正式立候補するか決めるため国際オリンピック委員会(IOC)の事前協議機関からアドバイスをもらっている前段階」としたうえで、次のように話す。

「正式立候補となると、細かい開催計画、財源、さまざまな準備、そして市民の支持を得られるかを見極める必要があります。JOCへの提案書では開催経費は4565億円を計上。大倉山ジャンプスキー場など前回大会で使った既存施設を改修するなどして経費を抑えたい」(同部担当者)

 この数字にはセキュリティー費などは含まれていないが、倹約をお願いしたい。