千原ジュニア 様
今回、私が勝手に表彰するのは、千原ジュニアさんです。
今から12年前、トリノオリンピックで盛り上がっている頃、紀伊國屋サザンシアターで『6人の放送作家と1人の千原ジュニア』という1回こっきりのライブが行われた。
6人の放送作家が千原ジュニアを使って何をしてもいい。時間は1人20分。
それがジュニア氏との出会いだった。最初の打ち合わせは雨の日で、当時、神保町にあった吉本興業でファーストコンタクト。
業界では西にジャックナイフと呼ばれる男がいて、たいそう笑いに対して厳しいと聞いていたので、会うことすら怖かった。ドアを開けると試合前のボクサーのような男がいる。やっぱ怖いじゃん! このままムーンウォークで引き返そうかと思った。
「落語やりません?」
開口一番、私がそう言うと、「なるほど、いいですね」と笑顔を見せた。
それ以降は、楽しい打ち合わせとなり、中身はすべてお任せします! と言われた。
千原ジュニアの落語が見てみたい! と思ったはいいが、どんな話にしよう? 机の前で腕組みし、フリーズしたまま時間だけが流れた。
数日かかって、書き上げたのは、仕事が忙しく家族に愛想をつかされて出て行かれた放送作家の話。
『子別れ』という落語をモチーフにしたものだった。ある日、男は小学生の息子と再会。
息子は父親が昔使っていたノートパソコンを使っていて、そこにお楽しみ会でやるコントが書いてある。男は思わず、そのコントに手を加え書き直してしまう。妻はそのコントを見て「あんたがこんなおもろいコント書けるわけない!」と息子を問い詰める。それがきっかけで別れた妻と会うことになる、という話にした。
1回こっきりのライブは大盛況で、6人の放送作家が書いたすべてのネタはウケた。ほっ!
それからジュニア氏との付き合いが始まった。『笑っていいとも!』『タモリのヒストリーX』(ともにフジテレビ系)の特番で一緒にスペインにも行った。
現在はテレビ東京で『おしゃべりオジサンと怒れる女』(テレビ東京系)をやっている。