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「東西に延びる有馬―高槻断層帯と、南北に延びる生駒西麓断層帯の交点が震源でした。有馬―高槻断層帯は1596年9月、豊臣秀吉の時代に愛媛、大分に続きM7以上の大地震が1週間以内に3連続発生し、秀吉が“明智光秀の祟りに違いない”と慌てふためいて明智の居城『坂本城』を壊しにいったエピソードで知られます。

 国内の主な活断層はおおむね400年周期で活動が活発になっている。1995年1月の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)以降は近くで大地震が発生していないため、“次はまた400年後だろう”と警戒を怠っていた側面もあるのではないか」

 立命館大学・環太平洋文明研究センターの高橋学教授(災害リスクマネジメント)はそう指摘する。

よく起こるレベルの地震でも大災害になりうる

 高橋教授は「地震震災は全く別もの」と続ける。

「大阪北部地震のM6・1は規模としてはそれほど大きくありません。5年に6回程度起きている地震です。しかし、震源地周辺は地盤が軟弱で、人口密集地でした。住環境や発生時間帯などの条件を加味して備えなければ、よく起こるレベルの地震でも大災害を招きかねないのです」

 気になるのは、6月に入ってからM4・0以上の地震が頻発している千葉県沖の地震との関連性だ。ニュースでは「スロースリップ」現象という耳慣れない言葉が飛び交い、17日には群馬県でも震度5弱を観測するなど不気味な展開をみせていた。

「東日本の太平洋側では2011年3月の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)以降、大慌てで沿岸部の海中にヘビのように連なる地殻変動の観測網を設けたんです。スロースリップとは、プレート同士が境界でゆっくり滑る現象を指し、1日に数ミリ動くような細かい地殻変動まで読み取れるようになりました。

 西日本にも同規模の観測網を設ければ、おそらくスロースリップは観測されるでしょう。問題は、観測機器設置から日が浅いため、スロースリップがあったといっても、現時点ではそれが大地震にどうつながるのかわかっていないこと。経験則がないんですよ」

 と高橋教授は説明する。

 つまり、こうした微細なデータを収集したのちに大地震が起きて初めて、その次の大地震発生に向けたデータ分析などができるようになるというわけ。