知名度は全国区で、大手メーカーが手がけているのに、なぜか販売地域が限られているビールにコーヒー、お菓子、インスタントラーメン……。地域限定なのに、それを前面に打ち出してもいない。どこか謎の存在でもある。一体、どうして? なんで全国販売じゃないの? メーカー担当者に聞いてみるとーー。
北海道『サッポロクラシック』(サッポロビール)
「北海道で生まれ育ったサッポロビール。創業110年目の節目(1985年)に、道民の方々に感謝の気持ちを込めて作ったビールが『サッポロクラシック』なんです」(広報・堀内愛美さん)
北海道の気候や、ジンギスカンをはじめ現地の食材に最も合うビールを目指し、麦芽100%にこだわった逸品。素材のうまみと爽快な味わいが楽しめる。北海道のみで通年販売されており、2001年〜'17年まで、17年連続での売上増を記録中。全国販売を望む声はひっきりなしだが、
「その予定はありません。やはり“道民のための”ビールですので。ぜひ、北海道のおいしいものと一緒に、現地で飲んでいただければ!」
北海道『じゃがポックル』(カルビー)
カルビーが手がける、じゃがいもを使った新スナック『じゃがポックル』。'03年の発売以来のロングヒットを続け、その人気は外国人旅行客にまで広がっている。
「北海道のおいしさを持ち帰ってもらえる“北海道のお土産”として、材料からこだわっています」(商品企画担当・岡田倫子さん)
寒暖差が大きい北海道の気候は、おいしいじゃがいもが育つ。そんな道産のじゃがいもを皮つきのまま独自製法でサクサクに仕上げている。商品名は、アイヌ民族に伝わる伝説の妖精“コロポックル”に由来。
「基本的には道内のみの販売ですが、実は道外の国際線ゲート免税店(羽田、成田、関西、中部など)でも販売しています」
東北・信越『マルちゃん 焼そばバゴォーン』(東洋水産)
マルちゃんブランドの『焼そばバゴォーン』の発売は'79年。弾力のある麺、ウスター&中濃のブレンドソースで仕上げたカップ焼きそばだ。別添えのわかめスープは、お得感が伴う。
「“バゴォーン”は当時、若者の間で流行していたアメリカンコミックの中で、ピストルの発射音として使われていた擬音が由来です」(CRS広報部)
当初は全国販売されていたものの'90年代に入ると同社でカップ焼きそばの新ブランドが発売に。引退と思われた『焼そばバゴォーン』だったが、根強い人気の東北・信越地区では継続販売が決定。地域限定商品として、第2の人生を歩んでいる。
千葉・茨城?『ジョージア マックスコーヒー』(日本コカ・コーラ)
“生産工場から近かった”という理由で、'75年に千葉と茨城のみで発売された『ジョージア マックスコーヒー』。
黄色×茶色のデザインはインパクト大だ。
「通常のコーヒーは乳分に牛乳などを使用しますが、『ジョージア マックスコーヒー』は練乳を使い、ミルキーな甘い味わいが最大の特徴です」(広報・大内多恵子さん)
近隣県でも人気を博し、2009年に全国発売となった。
「現在は、根強い人気の千葉・茨城を中心として展開しています。ですので、地域限定商品だと思っている人も多いのですが、東京などほかの地域でも販売している店舗はあります」