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 生涯に何度もあるわけではない相続。それだけに妻子や孫を喜ばせたい。最近では政府も、お金を持っているシニアから孫子の代に早めに財産を移して消費を促そうとする方針から、そういった流れを支援する制度がいくつもできている。

贈与税を回避するには?

 そんな中で最も多く活用されているのが、年間110万円までの生前贈与である。

「贈与税の税率は相続税よりも高く設定されていますが、年間110万円以下の贈与であれば非課税。税金がかかりません。ただし税務署から指摘されないように、契約書や口座に履歴を残すなど記録が残るカタチで贈与してください」(高橋さん、以下同)

 もし年間の贈与額が110万円を超える場合は『贈与税の申告書』の提出が必要になるから、それも忘れてはならない。さらに、

「土地や自動車の名義の変更、借金を免除してもらった場合でも贈与税の課税対象になりますから、十分注意が必要です」

 逆に生活費などの仕送り、祝い金や香典などは贈与税がかからない。

 このほかにも贈与税がかからない代表的な特例を3つ紹介しよう。

(1)配偶者控除
 20年以上連れ添った夫婦であれば、マイホームを贈与した際、最高2000万円までの配偶者控除が受けられる特例。ただし、生涯1度限り。

「取得したら翌年の3月15日までに確定申告をすませ居住しなければなりませんが、お得な制度だけにマイホーム贈与時はぜひ利用してほしいですね」

(2)教育・結婚・子育て資金の控除
 30歳未満の子や孫へ教育費として一括贈与した場合、1人につき1500万円までが非課税となる。

「学習塾や家庭教師、習い事まで含まれ、留学する際の渡航費用もOKですが、このような学校以外への支払いは500万円までとなっています」

 また20歳以上50歳未満の子や孫への結婚・子育て支援も1人につき1000万円まで非課税である。

「挙式や披露宴の費用以外にも、新居の住居費や引っ越し代もこの中に含まれます。ただし結婚費用は、300万円までです」

 両方とも2019年3月までの制度なので、利用希望者は早めに申し込む必要がある。

(3)マイホーム取得資金の控除
 子や孫がマイホームを建てる場合、住宅用家屋の場合は700万円まで非課税。耐震など一定条件を満たす質の高い住宅の場合は1200万円まで非課税となる。こちらも2020年3月末までなので、急ぐ必要がある。