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 政府の地震調査委員会は先月26日、今後30年以内に発生する新たな地震確率を発表した。青森県東方沖から房総沖の日本海溝沿いで、マグニチュード(M)8級の大地震が起きる確率は全域で高く、M7~7・5の地震も宮城県沖で90%など、高い数字が並ぶ。

「毎年、大地震が近づいていることは確かです。地震の活動期に入っているとの指摘もあります」

 そう指摘するのは、武蔵野学院大学の島村英紀特任教授(地球物理学)だ。

「海溝近くで起きる地震は、日本列島をのせている大陸プレートに海洋プレートが衝突して発生します。海洋プレートは毎年4~8センチの速さで動いて大陸プレートを押している。年月がたつほど、地震を引き起こすエネルギーがプレート境界に蓄積されていくわけです」(島村教授、以下同)

『複合災害』が起きやすくなっている

 大きな災害に相次いで見舞われた平成は「災害の時代」として人々の記憶に刻まれている。台風や豪雨などの気象災害も多発、各地に大きな被害を出した。

「'14年(平成26年)の広島土砂災害は、数百年に1度といわれる記録的な集中豪雨が原因でした。それでなくても日本中には火山灰を含む土地がいたるところにあって、地滑りを起こしやすい。

 '18年(平成30年)の北海道地震では、札幌市清田区で液状化が発生しましたが、かつて沢を埋め立てたときに火山灰を含む盛り土をした場所でした。地球温暖化の影響で気象が凶暴化して、『複合災害』が起きやすくなっています

 複数の災害が重なる複合災害は被害が大きくなりやすい。'11年(平成23年)の東日本大震災はM9の激震と大津波が起きて、福島第一原発事故につながった。

 このとき、よく言われたのが「想定外」という言葉。災害の予兆をつかむのは難しい。ただ、島村教授は「政治的な狙いや経済的なコスト意識で想定を決めるのは誤り」と、想定外という言葉を恣意的に利用しているのではないかと懸念する。