木村拓哉(47)・工藤静香(50)夫妻の長女・Cocomi(18)がモデルデビューを飾ってから約半月。メディアの報道もひと区切りという感じだ。2年前にモデルデビューした次女のKoki,(17)同様、この姉妹は「大物芸能人を両親に持つ二世モデル」という独特かつ安全なポジションでしばらくやっていくことを選んだのだろう。

 というのも、歌やドラマと違い、モデルは評価が数字にあらわれにくい。人気や実力がどの程度のものかよくわからないまま、期待や注目の存在であり続けられるというメリットがあるのだ。

 しかも、Cocomiはあくまで音楽(フルート)活動をメインにするという。その腕前は世界レベルとまではいかないようだが、モデルが上手くいかないときの保険にはなりそうだ。

“静香流”子育てのこだわりとは

 そもそも、本人たちは歌やドラマに興味はなかったのだろうか。ただ、歌やドラマの世界で成功してきた両親にとっては、自分たちと比較されない分、モデルの世界のほうが安心して送り出せるのかもしれない。また、うがった見方をするなら、静香は「キムタクの妻」に加えて「美人モデル姉妹を育てた母」 としての賞賛も得られるわけで、それで充分だとも考えられる。

 では、バラエティーへの出演はどうか。じつはこれも、容易には実現しそうにない。今回『文春オンライン』が「『マジかよ! 信じられねえ!!』『審査員が悪い!!』CocomiKoki, 工藤静香にそっくりな“超勝ち気セレブ姉妹”の真実」という記事で報じたように、この姉妹には言葉遣いにやや難がありそうで、セレブイメージが崩れるおそれがある。

 じつは筆者、この問題については今から18年前に、懸念を表明していた。月刊誌『噂の真相』のコラムに、こう書いたのである。

何せ、キムタク&工藤ときたら、芸能界一、言葉遣いがぞんざいな夫婦。長女には、心だけでなく、言葉も美しくしつけてほしいものである》

 Cocomiの本名が「心美」であるところに引っかけてみたわけだが、言葉遣いというのはどうしても親に似てしまうものだ。英会話を習わせたり、オーガニックな食事を選んだり、クラシック音楽を学ばせるなど、せっかくセレブ教育を施してきたのに、画竜点睛を欠くとはこのことかもしれない。

 そんな静香流子育てで思い出すのが「虫はホェア?」というエピソード。今から約13年前に週刊女性が報じた、静香とKoki,についての目撃談である。

 それは6月の蒸し暑い午後、都内の公園でのこと。虫取りに興じる子供たちのなかに、キャミソールにブーツといういでたちの静香がまじり「虫はWhere?(どこ?) Where?(どこ?)」と叫んでいた。当時すでに、姉妹をインターナショナルスクールに通わせていた静香としては、そこにいた次女たちに対しても英語で話しかけることで、見本を示していたようだ。ただ、その発音は流暢というより、いかにも日本人的だった、らしい

 ちなみに、静香はアメリカ英語よりイギリス英語が好きで、キムタクよりはしゃべれるようだ。ただ、幼いころから英語漬けにされた娘たちにはすぐに抜かれてしまった。おかげで娘たちに「下手すぎ」と笑われるようになったともいう。そういえば、日本の店で店員に英語で話しかけ、娘たちにやめてと言われたという話も伝わっている。

 とまあ、元ヤンキーアイドルなりにセレブ教育を頑張ってきた静香。オーガニックな食事へのこだわりにしても、娘たちのことを思ってのことだ。また、娘たちは両親のストレートで負けず嫌いな性格も受け継いでいるらしい。

 とすれば、バラエティーに出ても、あけっぴろげにいろいろ語ってくれるのではないか。モデルっぽいセレブなイメージにこだわるのもいいが、ここはぜひ、トークも解禁して「虫はホェア?」の話などネタにしてほしいものだ。

 そんな娘たちに、あの困り眉をしかめる静香や「ちょ、待てよ」とツッコミを入れるキムタクが見られたら、もう最高ではないか。

PROFILE
●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。