'20年にデビュー満20年を迎え、ゼロからのリスタートとして氷川がリリースしたのは『母』だった。そして今年は――。
「この3月30日に『南風』をリリースしました。母から生まれて、次は旅が始まる……という感じですね。心の中では、2枚目のシングルという気持ちもあります」
20周年を迎えるまでは、“頑張れ、頑張れ”のイケイケドンドンだったと振り返る。
「『勝負の花道』とか『限界突破×サバイバー』とか。一時、ビジュアルなイメージですごく盛り上がりましたけど、そことはまたちょっと違うところでやりたいなと思っていて」
常に新しいことをやりたい。ひとつのイメージで縛りたくはない。そんなアーティストとしてのマインドとともに、新型コロナウイルスへの懸念がどうしてもある。
「今のこの時代のこの感じの中で、何が伝えられるかなとすごく考えました。そして押しつけではなく、みなさんの背中をそっと押せるような言葉を歌いたい。前向きな気持ちになれるものを、どうしても今の時期に出したかったんです」
言いたい気持ちを抑えられず
“南風”というテーマは、師匠の水森英夫と話す中でおのずと決まったという。
「今は、誰もが大変な世の中。“みんなに南風が吹くようなことになったらいいな”というところから始まりました。でも届けたい言葉は“頑張れ、頑張れ”じゃなくて。すでにもう、みんな頑張ってるから」
南風という言葉自体にやさしさと温かみ、そしてポジティブさがある。
「でしょ? 北風とは訳が違いますよね。発表前から言いたい気持ちを抑えられなくて、実はチラ出しもしてました(笑)」
と、いたずらっ子のように笑う。寒さが厳しいころからインスタで“みなさんに南風が吹きますように”と、よくつづっていた理由はこの新曲にあったと明かす。
「どんなときでも、やっぱり絶望したらいけない。明日に向かっている希望を感じてほしいし、どんな人も幸せになってほしい。その一点をこの『南風』に表現しました。すごく爽やかでハッピーな気持ちになれる曲なので、『南風』を聴いて、心の中のいろんな毒素を全部吹き飛ばしてほしいなと願っています」