「最初、企画書をいただいて読んだとき、この役はあて書きなんじゃないかなと思いました。台本を読んだら自分にもすごくしっくりきたし、“この役は私がやらなきゃ!!”って思いました。現場でも監督が“尾野さんってさ〜”って、ずっと私のことを聞いてくるんですよ。そんなに私のこと知ってどうするのみたいな(笑)。今回も私は、強烈なメッセージを伝える役目なんだなって思いました」
監督が信じてくれた
映画『舟を編む』など数々の話題作を手がけた石井裕也監督最新作『茜色に焼かれる』で尾野真千子が主演。7年前に夫を交通事故で亡くし、コロナ禍で経営していたカフェは破綻。花屋と夜の店のバイトでひとり息子を育てる田中良子を演じる。
物語は、弱者ほど生きにくいこの現代に翻弄されながらも、わが子への愛情を抱えて気丈に振る舞う母と子の人間ドラマだ。
「監督は“尾野さんならやってくれるんで”って、最初から信じてくれているというか自由に演じさせてくれました(笑)。でも、私は野放しにされればされるほど、“良子ならこうやるかな?”とか考えたりできるので、すごく楽しかったです。
しかも、今回は主役なのでいい意味でやりたい放題にできる。その分、共演者の方々に助けていただいたので、とても感謝しています」