オリンピックが終わって、お楽しみといえば夏クールのドラマ。芸人の中で「俺がいちばんドラマを見ている」と豪語するナイツ・塙さんに忖度なしでガチレビューしてもらいました。途中見逃した人も、これから見る人も必見!

ナイツ・塙のおすすめ「夏ドラマ」

――ズバリ、塙さん的に今クールのイチオシドラマは?

 4thシーズンを迎えた『緊急取調室』ですね。今シーズンの初回ゲストとして登場された桃井かおりさんのインパクトがとにかく強かった! 主演の天海祐希さん演じる刑事・真壁有希子と犯人役の桃井さんが、取調室で10分くらいやり合うシーンがあって。そのすごさに「どこまでが台本なんだろう?」って疑問に思うほど。ネットで調べたら「アドリブだった」と書いてあったりして、2人のハイレベルな演技力にいきなり引き込まれました。

2人のハイレベルな演技力にいきなり引き込まれた『緊急取調室』
2人のハイレベルな演技力にいきなり引き込まれた『緊急取調室』

『キントリ』は小日向文世さん、田中哲司さんほか、演技の上手な方ばかりなので、役者さん同士のやりとりにもしびれます。

 今シーズンは“壮大さ”もいっそうアップしているように感じています。そもそも『緊急取調室』は、取調室の中で起こる、いわゆる“シチュエーションドラマ”に分類できるんだと思っていたんですよね。取調室で、膨大な量のセリフの応酬があるっていうだけでも十分に面白いんですけど、今シーズンは特に、取調室を飛び出したロケシーンなども秀逸で。初回では飛行機内でのハイジャックのシーンなどもそうですが、「制作陣も力が入っているな」と感じますね。

 あとは基本的には1話完結なので、1回見逃しても途中からでも見始めやすい、というのもオススメなところです。

 終盤に向けてのキーポイントとしては、“キントリ”のチームが解散するのか否か、というところでしょうか。今シーズンは「キントリ解散まで100日」という設定でスタートして、そこが大きな軸になっています。もちろんドラマ上の大きな見どころなのですが、ここまで長いシリーズとなると、キントリが解散してドラマ自体も終わる、という可能性もありうるのかもと。ファンとしては終わってほしくないわけですが、そういった緊張感も、やはり頭ひとつ抜けた面白さにつながっていると思います。

――ほかの推し作品は?

TOKYO MER』も「さすが日曜劇場」という面白さです。脚本家(黒岩勉さん)が、同じく日曜劇場の『グランメゾン東京』と同じ方で、やっぱり間違いないですね。救命救急のプロチームが事故や災害、事件の現場に駆けつけて命を救っていくというドラマなんですが、例えば第2話では鉄骨落下事故とお祭り中の神社の境内での爆発事故、2つのエピソードが盛り込まれているんですね。どちらか1つだけでも十分見ごたえがあるのに、2つ盛り込むというところがすごいなと。

 それと、毎回救命に成功したあとに「死者は……ゼロです!という決めゼリフがあるのもいい。“パッケージ感”というか。『キントリ』だと最後に中村静香ちゃんが働いている居酒屋のシーンで終わる、とか。そういうキャッチーさとか安定感のあるものは、ドラマを見る楽しみになりますね。

現在31本視聴中、芸人でも屈指のドラマ好きなナイツ・塙
現在31本視聴中、芸人でも屈指のドラマ好きなナイツ・塙

ハコヅメ』は今期のドラマ満足度で1位になっていましたね。このドラマはリアルなところと、ファンタジーなところが、ちょうどいい塩梅でやっているのがいいなと。漫画の原作者がもともと交番勤務の方だったから、「そんなことねーだろ!」ってこともなく。でも笑うとこは笑わせてくれる。全部が全部リアルになりすぎちゃうと、ドラマって盛り上がらないじゃないですか? そのさじ加減が絶妙。

 同じく日テレでやっていた『親バカ青春白書』では親子役だったムロツヨシさんと永野芽郁ちゃんが再共演していて、今回とどこか似たムードですよね。ちょっとホッとするような、昭和の空気感がするというか。視聴者は永野芽郁ちゃん演じる新米警察官が成長していく姿を見守っていく楽しみがありますね。

 フジテレビの『ナイト・ドクター』は月9特有のチーム感みたいなものを出すのがすごく上手だなと。みんなそれぞれの個性があって、ひとりひとりバラバラなんだけど、最後ひとつにまとまっていく、みたいな。医療系でフジだとだいたい間違いない。『ラジエーションハウス』も好きだったので、今後も楽しみ。あとキンプリの岸君が「いい味出してるな、渋い顔つきをしていていいな」と思いながら見ています。

 恋愛系ドラマで気になるのは深夜枠でしょうか。今期だとMBS『初情事まであと1時間』。要するに初めてセックスするまでの1時間前からを描くドラマですが、いい意味でエロくて、ドキドキするんですよね。毎回1話完結のオムニバスで、例えば、童貞と処女のカップルだったり。第3話は松雪泰子さんと大森南朋さんだったり。すごい見たいじゃないですか! 毎回設定が斬新で、女優さんも下着姿になったりと攻めていて。でもなんかいやらしくない、素敵なドラマなんです。

 ほかにも同じく深夜枠で、キスマイの北山君が主演の『ただ離婚してないだけ』が怖くって、面白い。北山君の奥さん役の中村ゆりさんがもう、すごくかわいそうな役なんですよ。でも、同じく中村ゆりさん主演のBSテレ東『今夜はコの字で』が再放送中で。コの字型のカウンターの店で人間模様が起きるっていうドラマなんですが、中村ゆりさんが楽しそうに飯食ってて。『ただ離婚~』を見たあと『コの字』を見るとプラマイゼロになる。そんな楽しみ方もオススメです(笑)。

 その『コの字で』や今期の『孤独のグルメ』、『サ道』などのテレ東のドラマは、飲食店や銭湯など実在の店でロケする手法を確立していて、好きですね。安っぽいセットよりは、ロケのほうが見ているほうも気分が入り込める。きっと予算が限られる中でも工夫されているんでしょう。細部まで楽しめます。