体操着といえばブルマー、プールが楽しみで、家庭訪問は成績のことを言われるから憂うつ……。そんな昭和生まれのアラフォーにとって当たり前だった学校の風景は今、様変わりしつつある。「遊具の遊び方を知らない」「マッチを擦れない」子どもが増える中、意外なものまで姿を消していた!
いまどきの学校から消えたもの
今、学校からプールが消えつつあるのをご存じだろうか? 老朽化に伴い廃止するケースが全国的に増えているというのだ。それだけではない。家庭訪問をやめたりニワトリを飼育しなくなったり、週女の読者世代がよく知る姿からは一変している。学校現場の実態に詳しいジャーナリスト・渋井哲也さんと、教師歴30年超のベテラン先生とともに、いまどきの学校から消えたものを追ってみた。
昭和の子どもだった読者世代が学生時代に着用していた体操服といえば、ブルマー。実は、明治時代からあったものだというが、平成に入った1990年代からハーフパンツに切り替える学校が増えていった。
渋井さんが分析する。
「'80年代に巻き起こったブルセラブームの影響が大きい。盗撮が増えた時代でもあり、ブルマー姿の女子が性的な対象として見られ、性犯罪につながるとして世間から騒がれ始めたのです」(渋井さん)
学校現場では、どう考えていたのだろうか? 埼玉県の小学校で校長を務めた経験がある元教員・Sさんが言う。
「女子の身体の発育は年々早くなっていき、小学校中学年くらいで初潮を迎える児童も多くいたんです。体育の授業中、生理用ナプキンがずれてブルマーからはみ出るのを気にする女子もいて、かわいそうでした。ハーフパンツに変わって安心しましたね」
夏の風物詩・プールも学校から姿を消している。文部科学省の調査によると、屋外プールを持つ小学校は1996年には2万111校あったが、2015年には1万5163校と約25%減少。中学校でも同様の傾向にある。
「高度経済成長の時代には学校が多くつくられ、プールなどの施設も充実させていました。それが地域のためになると考えられていたからです。しかし、施設の老朽化が進む現在では改築にかかる費用負担が大きく、そのうえ少子化も進み、コストパフォーマンスが悪くなってしまったのです」(渋井さん)
今年はコロナ禍でプールの使用を控えている学校が多い。それでも「維持費がかかる」とは、前出のSさん。
「たとえ使っていなくても、メンテナンスは1年間を通して必要。実はコストがかかる施設なんです」(Sさん)