密にならずに楽しめるとしてアウトドアレジャーが注目されて久しい。中でもキャンプ人口は増加しているが、人気の一方でマナー違反が問題視されている。有料化することでマナーが改善した例もあるが、有料キャンプ場でも迷惑行為は後を絶たず……“トンデモ客”に効果的な秘策とは。
客増加に伴って“困った利用客”も
「この20年ほどキャンプ場の管理運営に携わっていますが、消灯後の騒音問題や、共用の炊事場を汚して帰る人、ゴミの放置などは、日常茶飯事です。
なかには、キャンプ区画内で排泄をしてそのまま汚物を放置して帰っていくような常識のない人もいます。基本的なルールはチェックイン時にお伝えしますが、それでもマナー違反をする人がいなくなることは、まずないだろうと諦めている部分もありますね」
山梨県の私営有料キャンプ場従業員の矢部健司さん(42歳・仮名)は近年の利用客事情についてこう語る。矢部さんが働くのは、夏休みなどのシーズン中はほぼ予約がとれないほどの人気キャンプ場。
通常のテント区画やロッジなどの宿泊施設のほか、気軽に豪華なキャンプ体験ができるグランピング施設も併設しており、ここ数年で利用客は増加の一途だ。ただし、キャンプを楽しむ層の多様化やキャンプ人口の増加に伴って“困った利用客”も増えたという。
「最近はカップルで利用される方も多いのですが、よくあるのがテントから漏れ聞こえる“深夜の喘ぎ声”問題。静寂に包まれる山の中だからこそ、ちょっとした声も思った以上に響いてしまうのですが、管理者としてはなかなか注意をしにくいですね。
また、遊歩道などにティッシュや使用済みの避妊具が捨てられており、野外で行為に及んだ痕跡が残っていることも……。子ども連れの利用者も多いため、こういったクレームはわりとありますね」(矢部さん)
ほかにも、ゴミを場内に埋めたり、火の不始末でボヤ騒ぎを起こしたり、ペット不可のテントサイトにペットを連れ込んだり……キャンプ場でのマナー違反事例は枚挙に暇(いとま)がない。その中でも最も多いのが“騒音トラブル”だというが、最近はちょっとした変化がみられるという。
「深夜まで音楽を流しながら大騒ぎをするグループは、昔から一定の割合でいます。ただ、最近目につくのは、大学生などの若者グループがマナーを知らずに羽目を外しているというよりも、40代前後のいい大人たちが、山ではしゃいでマナー違反をしているという例ですね」(矢部さん)