多くの女性が経験する更年期。ただその症状は、十人十色で個人差が大きい。メディアで元気な姿を見せる料理研究家たちも湿疹、動悸、吐き気などの不調を経験し、身体の変化に戸惑いつつ、シフトチェンジを図る。更年期を乗り切り、より輝くための秘訣とは──。今回は、藤井恵さん(56)が教えてくれた。
50歳前後にひどい手湿疹 大豆中心の食事で改善!
藤井恵さんが心身の不調を感じ始めたのは、50歳前後。子育てや家事をしつつ、テレビのレギュラー番組の出演、雑誌の連載、書籍制作など、日々に翻弄(ほんろう)されていた。
「40代から50代に差しかかるころは、忙しすぎていつ閉経したかも覚えていないんです。倦怠感(けんたいかん)も疲れているから当たり前かと思っていました。不眠も続き、イライラすることも多かった。婦人科に行っていないので素人判断にはなりますが、更年期の不調だったのでは」(藤井さん、以下同)
昔から病院に頼りたくないタチ。しかし、見逃せない身体の変調が出てきた。足にできた湿疹がだんだん上に広がり、商売道具のある手までも腫れあがったのだ。
「皮膚がはがれるだけでなく、爪も剥離(はくり)。手元はテレビでも映るので何とかしたくて皮膚科に何軒も通ったものの、なかなか治らなくて……」
18年続いた料理番組を卒業すると、その湿疹も徐々に改善。今から1年半前のことだ。
「その少し前に長野県の別荘を手に入れて。時間の余裕も生まれたので、定期的に訪れるようになりました」
それまではオンとオフの切り替えができなかったが、「自分の時間」を持てたことで不調全般が軽減していった。
必ず食べたい食品は朝ごはんにする
「なんとか自力で更年期を乗り越えられたのは、7年ほど前に食生活の改善をしたからではないでしょうか」
特に良質なタンパク質をとるように心がけた。大豆に含まれる大豆イソフラボンは体内で女性ホルモン「エストロゲン」に似た働きをするため、更年期のサポートによいとされる。
「以前、取材した大豆農家さんご一家が全員お肌ツヤツヤで、とっても感動したことがあるんです。大豆食品は大豆イソフラボン以外にもタンパク質や食物繊維が豊富です」
よく食べるのは蒸し大豆や豆腐、納豆、厚揚げなどだ。
「蒸し大豆はサラダのトッピングにもなるので、冷蔵庫の常備菜にしています。食べ忘れないよう、大豆食品は朝食に食べるのがマイルール」
さらに腸活を意識して、発酵食品でもある納豆には食物繊維が豊富なわかめやオクラなどを合わせている。
「凝った料理は必要はありません。体調がいいときに簡単なものを作っておくと心のお守りになってくれるんです」
ふじいめぐみ ●料理家。管理栄養士。素材を生かした身体によく、作りやすいレシピが幅広い世代に人気。近著に『藤井恵さんの更年期ごはん 心と体がラクになる食べ方の工夫』(世界文化社)など。
〈取材・文/宇野美貴子〉