目次
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ー 『白い巨塔』は医師にも大人気
Page 2
ー リアルさで堂々2位の『コウノドリ』
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ー 少数意見にも医師ならではの視点

 2024年1月から始まる連続テレビドラマ『となりのナースエイド』。川栄李奈主演で、久しぶりの医療ドラマだ。医療ドラマといえば名作が多いが、本物の医師たちにはどんな作品が人気なのか。そこで、30代~70代の現役医師、歯科医師に好きな医療ドラマを聞いてみた。

『白い巨塔』は医師にも大人気

 結果を見てみると、『白い巨塔』がぶっちぎりの1位だった。主人公の財前五郎を唐沢寿明が演じた2003年版と、田宮二郎さんが演じた1978年版、どちらも最終回の視聴率が30%超えという大ヒットドラマ。唐沢版単独でも2位に19票差をつけて1位だ。

唐沢寿明
唐沢寿明

 コメントを紹介する。

「大阪大学出身者としてはやはり『白い巨塔』でしょう(編集部注・同作は大阪大学医学部をモデルにした浪速大学医学部が舞台)。このドラマ医師のイメージが悪くなりましたが、その分、しっかりと身を律しないといけないと思っています」(りんくう総合医療センター循環器内科部長・増田大作先生・40代)

 増田先生は唐沢版の放送当時も大阪大学にいたというから身を律しないと、と背筋を伸ばすのもうなずける。なにしろ医学部の教授選をめぐって賄賂と陰謀が渦巻く作品なのだ。患者さんの視線が気になったこともあるのだろう。

 唐沢版の放送当時、まだ20代だった若い女性医師からはこんな意見も。

「まだ医学生でしたが、5年生になると大学病院での実習があり、そのときに、教授を頂点とする医局のヒエラルキーに『あー、本当に白い巨塔だー!!』と思いましたね」(イシハラクリニック副院長・石原新菜先生・40代)

「所属していた科の部長が財前教授に憧れていて、回診シーンの再現に付き合わされたことがありました」(しおきデンタルクリニック院長・塩木真由子先生・40代)

 “財前教授の総回診です”という院内アナウンスとともに、白衣を着た唐沢が部下をひきつれて病院の廊下を歩く姿が記憶に残っている人も多いだろうが、まねしたくなるほど医師にもインパクトが強かったのだ。

 1978年から翌'79年にかけて全31話で放送された田宮二郎版は、単独では11票と唐沢版に大きく水をあけられたが、田宮版推しの医師はアツい。

田宮二郎の『白い巨塔』は1978年から翌'79年にかけて全31話放送された
田宮二郎の『白い巨塔』は1978年から翌'79年にかけて全31話放送された

「土曜午後9時をすごく楽しみにしていました。田宮二郎の外科医らしい風貌、緑色の手術着などは当時小学生だった私には衝撃的でした。周囲の医学部の教授の豪華さや脇を固める女優さんたちも素晴らしい。今見ても古さを感じさせませんし、見始めるとまた全部見てしまいそうです(笑)。リメイク版は田宮版と比べるとしょぼすぎて笑いが出ますので、あまり見ていません」(池田脳神経外科院長・池田耕一先生・50代)

 唐沢版をしょぼいと一蹴した。池田先生が素晴らしいという俳優陣。唐沢版だと江口洋介が演じた里見先生役は田宮版では名バイプレーヤーの山本學、清廉高潔な病理学科の大河内教授役は、映画『砂の器』で音楽家のハンセン病を患う父役を演じた加藤嘉さん、財前五郎の愛人役は太地喜和子さんだった。たしかに往年の名優たちが勢ぞろいだ。

「小学校低学年のときに見ていましたが、田宮二郎の野望むき出しの成り上がり人生劇場を強烈に覚えています。白い巨塔といえば、田宮二郎でしょう!!」(あおき内科・さいたま糖尿病クリニック院長・青木厚先生・50代)

 半世紀近くも前のドラマを今も熱く語れるのだから、田宮版の偉大さがわかる。

 なお、2019年にテレビ朝日が開局60年を記念して岡田准一主演で『白い巨塔』をリメイクしたが、今回、1票も入ることはなかった。