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ー 「別人に渡された」

 

「80万円もした高額のポケモンカードがまったくの別人の手に渡ってしまったんです」

 そう語るAさんの表情には怒気が垣間見える。約80万円を投じてポケモンカードを購入。郵便局での受け取りを巡り、トラブルがあったという。

「昨今、ポケモンカードは国内外問わず、すさまじい人気を誇ります。『ポケットモンスター』を題材にしたトレーディングカードで、複数人でのカードバトルが楽しめます。一方で、対戦はせずにレアカードの収集に凝るマニアも多いんです。通常、5枚入りのパックで180円ほどと、非常に安価ですが、生産数の少ない希少なカードは1枚数十万円から、時には数億円で取引されることもあります」(ゲーム誌ライター)

「別人に渡された」

 そんなポケモンカードを巡ってトラブルが起きたのは神奈川県川崎市にある宮前郵便局。被害に遭ったAさんは事の詳細をこう語る。

「5月中旬、宮前郵便局留めにして、購入したポケモンカードを受け取りに行きました。すると担当した窓口の局員から“別の人物に郵便物を渡してしまった”と言われたんです。杜撰な対応にあぜんとしました

 結局その日、荷物は取り戻せず、やむなく帰宅したという。

「後日、窓口対応をした局員から電話がありました。そこで“きちんと本人確認をせずに、別の人物に荷物を渡してしまった”と言われたんです。“別の人物”という男性は荷物を受け取るための本人確認の際に、マイナンバーを提示したそう。そこに記載されていた名前を伺ったのですが、私の名前とは似ても似つかなくて……。なぜ間違えたのか不思議でなりません」(Aさん)

 本件について日本郵便に問い合わせたところ、宮前郵便局を管轄する日本郵便南関東支社から以下の回答があった。

「誤って荷物を渡してしまったことは事実です。普段、お荷物の交付の際には、お客様からご提示いただく本人確認資料とお荷物の宛名を慎重に対査確認してお渡ししています。しかし、(Aさんに)お荷物を渡した際、同時に複数のお客様が窓口にいらっしゃる状況でした。そのため、お荷物の交付の際にご提示いただいたマイナンバーと、お宛名の合致確認が不十分となり、誤ってお渡ししてしまいました」(日本郵便南関東支社担当者、以下同)

 今後は再発防止に取り組んでいくという。

「宮前郵便局の管理者から関係社員に対して、改めて正当な取り扱いを指導するとともに、南関東支社が宮前郵便局を訪問し、適正取り扱いを指導しております。また、管内の郵便局に対しても適正取り扱いについてあらためて指導しております」

 事態を重く受け止めているという声明の一方、対応に誠意を感じられなかったと憤りをあらわにするAさん。

「どういうわけか後日、荷物は戻ってきました。すると、宮前郵便局は“物が返ってきたからいいでしょう”といった態度でしたし、謝罪もいいかげんで……。これまでも宮前郵便局留めで、購入したポケモンカードを受け取っていましたが、こんなことがあった以上、もう信用できません」

 こうした事態が二度と起きないことを願うばかりだ。