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 10数年前に“陰陽師ブーム”を起こした夢枕獏の大ヒット小説が原作のドラマ『陰陽師』が、9月13日にテレビ朝日系でスペシャルドラマとして復活。

「原作の小説はアジア、ヨーロッパでも人気で、発刊600万部を超える名作です。原点である日本の若い世代にも知ってほしい、見てもらいたいという思いから、映像化を決めました」(伊東仁プロデューサー)

 天才陰陽師の安倍清明が活躍する歴史ホラーファンタジー。

「魔術のような技を使う陰陽師の物語は、混沌とした今の時代に適しているという気持ちもありました」(伊東仁プロデューサー)

 主演の市川染五郎が清明を演じるのは今回が2度目。2013年に新開場した歌舞伎座のこけら落し公演での『陰陽師』に主役で出演しているのだ。同公演で染五郎は優れた新歌舞伎に贈られる大谷竹次郎賞を受賞。高い評価を受けている。

 舞台に続いて映像での“再演”について染五郎は、こうコメント。

「歌舞伎の『陰陽師』は同年代の役者が集まって新たに作るという、“一生に一度くらいの思い”で取り組んだ特別な作品でしたので、今回、映像作品としてまた安倍晴明を演じられることになり、驚きと喜びを感じています」

 舞台は平安時代。各地で天変地異や流行り病が相次ぎ、不安と恐怖が広がるなか、都では内裏(宮殿)が焼失。祟りとの噂は時の権力者である藤原氏をも震撼させていた。

 藤原氏の尽力で内裏の再建はしたが、そこでも変事が勃発。源博雅(堂本光一)の笛で美しい白拍子の青音(山本美月)が舞うなか、武将の怨霊が現れ、晴明が陰陽道の術を駆使して怨霊を調伏。清明の名は一夜で宮廷内に広まった。

 そんなか再建の宴以来、青音の魅力に取り憑かれ、我ものにしようとした藤原家ゆかりの者たちが次々と怪死を遂げる。さらに藤原道長(和田正人)の父、兼家(川原和久)は何者かの呪いで上半身だけのあさましい姿に変わり果てていた。

 清明は、修験者の蘆屋道満(國村隼)の仕業と疑う――。

「ファンタジーとロマンス、そしてちょっぴりホラーの世界。時代劇の枠に留まらない作品です。染五郎さんの佇まい、所作、目の動かし方など、ひとつひとつが本当に素晴らしいし、登場人物のすべてが魅力的です。多くの年代層の方にご堪能いただければ」(伊東プロデューサー)

 撮影は、奥州藤原氏ゆかりの地、岩手県奥州市にある『歴史公園えさし藤原の郷』で行われた。

「5月初旬にクランクインしたのですが、思いのほか寒かったですね。特に夜の撮影は、ストーブを焚いたうえにダウンジャケットが必要なほど。逆に撮影終盤の5月下旬には暑さを感じました。もっとも寒暖差のある1か月間での撮影になったようです」(伊東プロデューサー)

 気温との戦いの中で、撮影チームの士気を高めるできごともあった。

「私は立ち会えなかったのですが、撮影中盤に山本美月さんの提案で花火をしたんです。大がかなりなものでなく、子どもたちが遊ぶ手持ち花火。これで現場が一致団結できたと思います。キャストの方が提案してくださったことがありがたかったですし、みなさんがやりたいと思う現場の雰囲気になっていたこともうれしかったです」(伊東プロデューサー)

 伊東プロデューサーいわく“美しくなければ成り立たない”青音を演じるにあたって、時代劇初挑戦の山本は、所作や舞いの猛特訓を受け、筋肉痛になるほどの熱演ぶり。

「晴明と源博雅。まったく違うけれど最強コンビの2人に青音、そして蘆屋道満の動きにもご注目ください。美しい映像のなか、この世に生きる儚さを感じ取っていただけたら」(伊東プロデューサー)