元プロ野球選手・清原和博容疑者(48)が覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕された。
薬物依存からの回復を支援する『日本ダルク』の本部ディレクター、三浦陽二氏(52)は、自らの薬物体験から、薬物依存に落ちた元プロ野球選手の清原和博容疑者の心境を推し量る。
「薬物に手を出してしまう人は、何らかの問題から来るプレッシャーや寂しさをクスリで埋めようとするんです。清原さんも、同様に何らかの苦しみから逃げるために使用したんでしょうね」
三浦氏は中学から使用を始め、ひととおり経験した後、逮捕された。刑務所生活も送った。
「1度、依存症に陥ったら一生付き合うしかない。“やめ続ける”必要があるんです」
三浦氏がそう悟れたのは、日本ダルクの創始者、近藤恒夫氏(74)との出会いからだ。「やめ続ける」大変さに、やがて清原容疑者も向き合うことになる。
「彼を孤立させないために、仲間が必要なんです。クスリは孤独を唯一忘れさせてくれます。刑罰を受けても、家族や仲間がいなければ、孤立の寂しさを埋めるために再びクスリを使ってしまうんです」
家族や友人に対し薬物使用の疑惑を抱いた時、いったい、どう対処したらいいのか。
友人、家族、支援関係者などで作られる自助グループ、家族会のミーティングに参加していた50代の主婦は言う。
「薬物の使用というのは違法行為ですから、容易に他人に話せません。だからこそ、家族会というのは安心で安全に会話ができる場所、プライバシーの守られた場所である必要があります」
家族会には薬物依存症の子を持つ親が多くやって来る。だが家族会の存在を知っても、足を運ぶのに躊躇する人もいる。
「怖い人がたくさんいるのではと思って」と、最初の一歩の難しさを振り返るのは60代の主婦。しかし、1度足を踏み入れるとそこは、これまでの不安を発散できる特別な場所になったという。
「最初“依存症というのは病気で、あなたに治せるものではない”と言われた時は、とっても気持ちが楽になりました。交わされる会話は、懲役何年とか、うちの子は大麻、うちの子は覚せい剤、といった内容。
これまで普通にすることができなかった話が飛び交うので、びっくりしました。同時に、自分だけじゃないんだ、と思い、そこでやっと涙を流すことができました」
家族会でも清原容疑者の件は、「心が痛むね」と話題になったが、より心配したのは、清原容疑者の家族だという。
「私たちですら、近所との付き合いや買い物、仕事だって怖くて行きたくないと思っていました。清原さんのご家族は世間のみなさんが知っているわけですから、ニュースを見ているだけで涙が出てきます」(60代主婦)
そのうえで清原容疑者に対して、こう呼びかける。
「どんな気持ちで薬物を使用してしまったのか、気づく。それが回復への第一歩です。ご家族にも同じ体験をした家族がいる場所へ、ぜひ足を運んでほしいと思います」