日本一の“芸能人御用達学校”と言っても過言ではない堀越高校。人気絶頂の男女アイドルをはじめ、昔から数多くの芸能人がその門をくぐった。
現在も大半は芸能活動を行う生徒だが、それだけにとどまらないということ。なぜ、これだけ多くの有名人が堀越に通いたいと思うのだろうか。
「堀越には40年以上の経験があるので、所属事務所や親御さんも安心して通わせられるんです。芸能活動をしていると、どうしてもスケジュールが不規則になりますから、それに対応するシステムができあがっていることが大きいんですよ」(芸能プロ関係者)
芸能人や各ジャンルのプロが通うトレイトコースの特徴は“学校と事務所の連携”を密にとっていること。
連絡をとり合って課外活動をフォローする体制が整っている。仕事が忙しくて勉強が遅れてしまっても、取り戻す方法を一緒に考えて進級・卒業への道をサポートしてくれるのだ。
「授業に出られない日が続くと、土日や長期休暇のときに自主的に登校して自習をするんです。教諭が補講を行うこともあります。仕事が忙しくなることがわかっていると、事前に自習して単位をためておくこともありますよ」(熊沢敬一郎教諭)
学業が遅れても、学校が生徒、事務所と協力して取り戻すノウハウが確立しているから安心して通うことができる。そして、堀越が高く評価されている理由がもうひとつ。
「校則が厳しいんです。芸能人だからといって、特別扱いは一切ありません。校内ではメークやネイルは厳禁です。髪型やスカートの丈、持ち物にも厳格な規則があります。 仕事の関係で髪を染めなければならないときは、届け出て許可をもらう必要があります。その仕事が終わったら髪の色は元に戻すのがルールです。男女交際も禁止ですよ」(前出・芸能プロ関係者)
一般生徒と同じように、細かい生活指導が行われているのだ。また、学校側としてもしっかりした管理体制をとるために、トレイトコース入学には生徒が事務所に所属していることを条件にしている。
「トレイトコースは推薦入試だけです。書類審査と面接で合否を判断します。ドラマに何本出演していなければならないとか歌手デビューしていなければならないとかという明確な基準はありません。
でも、これから芸能活動を始めたいというお子さんはお断りしていますね。大切なのは、事務所が協力体制を作ってくれること。保護者と同じように、保護者会や面談に来校してくれるようでなければ困ります」(前出・熊沢教諭)
受験では芸能活動の実績が評価基準にはならない。もちろん、面接で“芸”を披露するようなこともないそうだ。トレイトコースに入った芸能人でも、校内にいる限りは普通の高校生と同じ。ただ、少しずつ環境は変わっているようだ。
「昔は校庭にアイスクリームを売りに来ていたと聞きましたが、今は売店で販売していますよ」(一般コースを卒業した女性)
2段重ねで上がおかず、下にご飯が詰めてある名物の『堀越弁当』なるものも、20年ほど前はあったそう。当時は400円で販売していたという。
「残念ながら、『堀越弁当』も今はありませんね。というか、現在は校舎を改装していて仮校舎で授業を行っているので、この2年間は食堂がないんです……」(前出・一般コースを卒業した女性)
ちょっと残念な気もするが、周りの景色は変わっても、先生と生徒の信頼関係は変わらない。熊沢先生も一緒に苦労した生徒のことはよく覚えている。
「3年間担任した三浦春馬は高校3年のときに仕事が忙しくなって授業日数を補うのが大変でしたね。でも、最後の12月~1月は事務所が協力してスケジュールを空けてくれたので、彼も頑張っていました。卒業してからクラス会に来てくれたんですが、飾り気もなく昔のままでしたよ」