菜々緒

「ありがたくも、悪い女性を演じる機会を何度かいただいているので“毎回、悪い人役でかわいそう”って思われているみたいです(笑)。でも実は、悪女役はうれしいなと思ってるんですよ」

 いま、悪女を演じさせたら日本一ともいえる菜々緒。現在放送中のTBS系ドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』でも、腕利きの美人弁護士を熱演中。

 彼女が演じていると聞くだけで“きっと悪役だろうな”と思ってしまうほど、世間には菜々緒=悪女のイメージが定着している。本人も過去に“生まれながらの悪女顔”と語ったことが。

「今をときめく恋愛ドラマのヒロイン役は向かないって思われているでしょうね(笑)。でも、安定の悪女役で雰囲気をかき乱してほしいと思ってもらえること自体、この立ち位置を築けたし、いい武器を持てたなって思っています」

 悪女のイメージを作ったり、守り続けるために、役作りも細部までこだわっている。

もともとヘアメイクさんになろうと思っていた時期もあったので、役に近づけるようにメイクもできるだけ自分でしています。眉の形や顔のトーンにも気をつけていますね。役によってミリ単位で変えているんですよ

 ただ、演じている本人からしてみると、根っからの性悪ではない役が多いようだ。

「本当はただ一生懸命な女性なんだと思います。目的に向かってまっしぐらになることってありますよね。自分を貫いた結果、悪女に見えちゃうんだろうなと。達成するために手段を選ばなければ、周りを巻き込んじゃいますから」

 SNSやバラエティー番組での飾らない発言が人気なだけに、“まっすぐな気持ち”はわかるのだ。

私も自分の意思は持っているほうだしマイペース。みんながやりたくなかろうが怖がられようが“私は悪女を演じる”ということを貫いています。

 だから自分を変えないという部分は共感できますね。でも他人を蹴落としたりはしませんよ(笑)。そういった意味では、反感は買うかもしれません。おいしいところをいただいちゃってるので

 きれいなバラにはトゲがある―。強力な武器を持った彼女は、これからもたくさんの作品に“トゲ痕”を残すに違いない。