現場でキツかったのはやはり不在率の高さで、感覚としてはお届け荷物の半分くらいが不在だった印象。時間を指定してくるのって、在宅の確信があるからじゃないんですかね。自分で指定しているにもかかわらず不在だと、「なんで!?」って突っ込んじゃいますよ~。

宅配バイト時代の苦労話を語る、フレンチぶる・加瀬部駿介(29)

 僕が担当していたのは、高層マンションが立ち並ぶ住宅街。だいたい、朝から昼過ぎまでの勤務で120個くらいの荷物を運んでいたかなぁ。時間内に届けるためには効率を考えなくてはなりません。マンションの場合、1階の集合玄関でオートロックを解除してもらって部屋に届けて、また下まで戻って別の部屋の番号を押して……と往復していると時間がかかるので、初めに1階で複数の家の番号を押して在宅を確認し、一気に荷物を届けるようにしていました。多いときは1棟で40件くらい届けたこともありました。

 ただ、この「まとめ配送」をすると1階でピンポンを鳴らしてから最後の部屋にたどり着くまで時間がかかるので、怒られることもあります。「ほかも回るんで少しお時間かかってしまうんですが」と言ってできるだけ了承してもらうようにしていました。

 集合玄関で配達の順番を考えながら荷物の仕分けをするわけですが、そうするとマンションの管理人から「ここは作業場じゃないんだよ!」とブチ切れられることもしょっちゅうでしたね……。エレベーターは基本的に住人優先なので、人が乗っていたら見送らなくてはならなかったりと、いま考えるとマンションだからこその気遣いもあったかも。

 マンションには宅配ボックスもあるんですが、サイズやボックス数に限りがあるので満杯だったら持ち帰らなくてはならない。特に朝は、業者同士で取り合いの熾烈なバトルが繰り広げられますね。

 宅配ボックスに入れていい荷物かどうかの判断も難しいところ。基本、食品を入れるのはNGなのですが、お客様によっては「いいから入れてくれ」と言われることも。また、以前、孫へのおもちゃのプレゼントを宅配ボックスに入れたらクレームが入ったこともありましたね。

 僕は午前からお昼過ぎまでの勤務でしたが、1日働いている社員さんは大変そうだったなぁ。カップラーメンを食べようとお湯を入れても、再配達の依頼の電話がかかってきて配送に出かけたり。それでお届け先が不在だったりするからたまったもんじゃないですよね(笑)。そうこうしている間に次の配達の時間になって、細切れの時間で丸1日かけて伸びきった麺をすすってた。不在を減らして、ドライバーに温かいカップラーメンを食べさせてあげて~!

<プロフィール>
フレンチぶる・加瀬部駿介◎かせべ・しゅんすけ お笑いコンビ『フレンチぶる』。ボーイズラブを取り入れたコントが持ち味。某大手宅配業者で、アルバイト歴4年の経験を持つ