古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、テレビ業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第25回は鮫肌文殊が担当します。

山内惠介 様

 今回、私が勝手に表彰するのは演歌界の貴公子として最近、バラエティー番組にも絶賛進出中の山内惠介さんである。

山内惠介

 2015年、2016年とNHK紅白歌合戦に連続出場。コンサートを開けばマダムがわんさか押し寄せ、チケットはあっという間にソールドアウト。まるで少女漫画から抜け出してきたかのような、何処(どこ)か昭和を感じさせる王子様ライクなルックス。

 有名人にもファンが多く、あの松任谷由実さんもメロメロで、自分のラジオ番組のゲストに呼んだりするほどゾッコン。本当に久しぶりに、オーバーグラウンドな世界で「顔と名前が一致する」演歌界のスターが現れた。

 私が担当する『五木先生の歌う!SHOW学校』(NHK)でご一緒させていただいたのが彼との最初の出会い。大御所歌手、五木ひろしさんが生徒たちに歌謡曲を教える設定のユニークな歌番組の中で、彼の役回りはもちろん学級委員。いつも品行方正なイケメンキャラを完璧に演じてくれる。

 恥ずかしながら、この番組を担当するまで山内惠介さんの存在を「最近、人気の演歌歌手」ぐらいにしか認識していなかった。しかし、あの五木ひろし相手に堂々と渡り合う姿を見て、「え、こんなにちゃんとコメディもこなせる歌手がいたんだ!」と驚いた。聞けば、2001年、弱冠17歳でデビュー。現在に至るまで順風満帆だったわけではなく、超涼しい顔に似合わず、まさに演歌な人生を歩んできた苦労人。場数が違っていたのだ。私、自分の不勉強を深く反省いたしました。