SSRIは、服用開始時に副作用で嘔気が出る場合があることが知られている。このやせ薬はSSRIによる副作用で食欲が低下することを利用し、飲めばやせると謳っていたと考えられる。この場合、死に至ったり、入院したりすることはないが、消費者の身体には軽微な副作用が出ていることになる。しかし、飲んだ人の多くは、それをまさか偽造医薬品のせいだとは考えず「少し気持ち悪い」「食欲がない」ですませてしまっているはずだ。
このような事例のように国内でも消費者が「気のせい」「いつもと少し違うかもしれない」ですませてしまうような、偽造医薬品による軽微な健康被害が起こっている可能性はあるのだ。
被害にあわないためには、一体、どうすればいいのか。
まずは、どのような品目の医薬品に注意すべきか知っておくことが大切だ。インターネット経由で偽造医薬品の被害にあいやすいのは「ED治療薬」「抗肥満薬」「育毛・養毛薬」といった医薬品。そして最近は、これらに加え、シワ改善の目的で用いる「ボツリヌス毒素製剤」の偽造品による被害も増えている。
ほかの医薬品に比べて、この4つの医薬品の偽造品が多く出回る理由は2つあると考えられる。1つは自費診療の薬だということ。抗肥満薬は、高度肥満症に対しては保険適用となるものの、それ以外、つまりダイエット目的の場合では自費診療となる。ED、薄毛、シワの治療も同様だ。いずれも保険適用はなく自費診療となる。病院と薬局の窓口で支払う金額の合計を考えると、通販で買ったほうが安い場合があるのだ。
もう1つの理由は、対面で買うのに「恥ずかしい」といった心理的抵抗が働きやすいことが挙げられる。インターネットなら、医師や薬剤師に根掘り葉掘り症状について聞かれることがなく、待ち時間も不要だ。こうした消費者の心理をうまく利用した結果、偽造医薬品のターゲットにされやすくなる。
では、インターネット経由でこれらの医薬品の購入を考えている人は、どのような点に気をつければいいのか。
被害を遠ざけるために心がけることが3つある。
(1)インターネットを利用しない
(3)やむをえずインターネットを使う場合は、信頼できるウェブサイトを経由して購入する
偽造医薬品の真偽を見極めることは大変難しい。よって、大前提として偽造医薬品が自分の手元に届いてしまう前の段階で食い止めることが大切だ。