母の影響で女優に。映像は憧れの世界

 最近は、映像での活躍が目立つが、原点は舞台女優。芝居好きの母親の影響を受けた。

「小さいころから新劇や小劇団の芝居を見に連れていかれてました。『はなれ瞽女(ごぜ)おりん』を見たときには、小学校1年生ぐらいだったので、意味がわからず、男性の局部を切るシーンに、“なんで?”と大きな声で聞いたら、ものすごく怒られたことを覚えています(笑)」

 高校卒業後、俳優養成所『五月舎』の演出部に入所した。

養成所に入るときは、(役者として)前に出ることはまったく考えていなかったので、演出部に入りました。ただ、演出部も俳優志望の人と同じ授業を受けないといけなかったので、発声法やリズム感といった勉強をしました」

 その後、養成所の俳優部にいた、犬山イヌコがケラリーノ・サンドロヴィッチと劇団を立ち上げる際に、役者として参加を誘われ、劇団女優として歩むことになった。

 初舞台で、観客の盛り上がりや拍手が快感となり、舞台の楽しさにハマったという。

 その一方で、こんな思いも抱いていた。

「いつかはちゃんと働くんだろうな、と思っていたんです。ある日、事務員の求人広告を見たら、28歳以下とか、30歳以下の年齢制限を自分が超えちゃっていたんです。そこから、役者に本腰を入れようと思い直しました

 劇団の活動と並行しながら、20代から堤幸彦監督作品に出演するなど、映像の仕事もしていた。

映像は、憧れの世界で、小劇場の人間が、足を踏み入れてはいけないと思っていました。それが、“大河”や“民王”をやってから、意識が変わり、演じることはみんな一緒だと思えるようになりました。

 映像は、演技に、音が加わり、編集して作品になっている。みんなの力が結集して、できあがったものを見るときは、ホントに楽しみです」

酒豪、実は酒嫌い!? 篤姫の晩年役を熱望

 ドラマ収録に追われ、忙しいスケジュールでの健康法は?

「なによりも睡眠です。7時間睡眠はふつう。5時間は、ぎりぎり頑張れるかな。それ以下だとつらくなります」

 バラエティー番組では“酒豪”ぶりをのぞかせていたが、飲んで乱れることはないそう。

「飲めば飲むほど、シャンとなっちゃうので、記憶をなくしたことがないです。誰かが先に酔っぱらうと、酔えなくなりますね。家で飲むことはしないので、私は、お酒があまり好きじゃないのかな?

 今後、演じてみたい役に“天璋院篤姫”の晩年をあげた。大河ドラマにもなった篤姫は、江戸城の無血開城に尽力したことで知られる。

「江戸幕府がなくなってから千駄ヶ谷に住んで、49歳で亡くなるまで自由を謳歌(おうか)していたそうです。晩年に初めて、自由な生活をして、楽しんだということを聞いて、面白いな、と思いました。

 当時の女性としては、ちょっと大柄だったことや、写真を見たら顔が、ちょっと怖い感じだったので、シンパシーを感じています。

 制約の多かった時代の女性たちが、どう生きてきたのか、興味があり、演じてみたいです」

 大河、朝ドラ、土曜時代ドラマに出演と貢献する実力派女優の願い──NHKさん、叶えてあげてはいかがでしょう……。

【峯村リエ豆知識】女子プロレスラーにスカウトされた!!

174センチと長身。高校生まで水泳を続け、自由形選手で東京都大会に出場。高校時代に女子プロレスのビューティ・ペアの試合を観戦した際に、スカウトされた経験が。

「男の人に“君、いい身体しているね”と声をかけられ、スカウトされそうになったけど、“私、闘争心がないんです”と答えたら、“ダメだな”とあきらめてくれました。いまも格闘技は見るのが好きで、WWEとか見ています」

<プロフィール>
みねむら・りえ/1964年3月24日生まれ。東京都出身。劇団『ナイロン100℃』に在籍。8月4日(金)よりBunkamuraシアターコクーンでの『プレイヤー』に出演